教育と不登校を考える vol.3

東京家学・関西家学 代表 平栗将裕

2020年教育改革 秒読み開始

年が明け2017年となり、東京オリンピックもさることながら、日本の教育の転換点となる「2020教育改革」もそう遠い未来の話ではなくなってきました。
「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」という新しい大学入試や、次期学習指導要領の施行など、様々な変化が起こってきます。
子どもたちにとって、一体何が変わるのか知っておけば、慌てないばかりか、変化の中にチャンスを見出すこともできるのです。

「学力」の捉え方と「教育カリュキュラム」が変わる

教育改革が必要とされる背景には、先行きの見えない時代に、これまでと同様の教育では自分の人生を切り開いていく力を十分に育成できないという認識があります。
これからの時代に求められる「学力とは何か?」ということが議論されてきました。
平成19年に改正された学校教育法では、育成すべき資質・能力が新たに定義され、それがのちに、いわゆる「学力の3要素」と呼ばれるようになりました。

学力の3要素

  1. ①「基礎的・基本的な知識・技能の習得」

  2. ②「これらを活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力など」

  3. ③「主体的に学習に取り組む態度」

 

そして、2020年の教育改革とは、ここに掲げた学力を学校教育の中で、「どうすれば育てることができるのか」ということについて、具体的に答えを出していくプロセスになります。
新しい大学入試や、高校生の基礎学力テストの導入、学習指導要領の改訂、ICT教育、英語教育の発展などがどうなるかについては、引き続き関心を高く持ちながらも、これらの「教育カリキュラム」の変更は、個別に存在するのではなく、これから育成しようとしている「学力」に繋がっていることなのだと理解しておく必要があります。

「これしかできない」から「これならできる」への意識の転換

この教育改革は、今までの学校での学習や評価方法になじめなかった子たちにとって、チャンスになる可能性があることも知っておきたいところです。
例えば大学入試では、従来にはなかった入試を実施している大学が増えてきました。今後はさらに教育改革の流れを先取りするようなかたちで「学力の3要素」の観点から評価する大学入試が増えていくと考えられます。

既に、自己推薦入試やAO入試では、学校の教育課程以外の学習であっても、多様な学習活動の一つとして評価するようになっており、英検、TOIEC、数検、簿記などの資格が活用できることも増えてきました。
ある大学では、大学の講義を実際に受けさせ、小テストとレポートの成績で合否を決めるというような入試も行われました。
これらの新しい入試は好きなことをとことん突き詰めたい子たちには非常に向いている方法です。

「学力の3要素」のうち、「基本的な学力・技能」を身に着けていくことはもちろん大切です。しかし、弱点にばかり目が行き、弱点を潰す学習ばかりを繰り返していくと、子どもの意欲や好奇心を削いでしまうことがあります。
繰り返しの訓練は、まんべんなく何でもできるようになるためには、必要なことかもしれませんし、実際そうなれれば素晴らしいことかもしれませんが、「課題を解決するための思考力・判断力・表現力」や「主体的に取り組む態度」まで育てるのには十分ではないのではないでしょうか。

「思考力・判断力・表現力」や「主体性」を身に着けていくためにまず大事なのは、「これしかできない」というような評価を子どもに、あるいは自分自身でしないことです。
「これしかできない」というのはあるべき姿を100として、そこから減点していくような評価であり、目標に到達しなければ自信が持てません。
それよりも、「これならできる」というように、できることを見つけ、最初は誰でも0からの出発だと思ってやり続け続けることで、10になり、20になり、30になります。
できないことができるようになっていく喜びの中に、もっとやってみようと思う主体性が生まれ、「これを50にするにはどうしたら良いか?」という問題解決の中に思考力や判断力が育まれるのではないでしょうか。

「これしかできない」とは言わず、「これならできる」という考え方に変えてみるということを、今年の抱負に加えてみませんか?

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