進路を決断するときの親のサポート -進級・受験・転入-

進路を決断するときの親のサポート
-進級・受験・転入-

東京家学・関西家学では、月に1回、土曜日に保護者の方に向けた、不登校を学ぶためのセミナーを開催しています。

12月10日と17日に開催したセミナーの内容は、シリーズ『進路を決断するときの親のサポート』の第一弾として、『進級・受験・転入』というものでした。
その中でも、特に関心が高く、重要だと考えられる高校受験に関する情報を網羅的にまとめましたので、ここでもお読みいただこうと思います。

高校受験の準備の最終確認になるように。
来年度受験のマイルストーンとなるように、ご活用ください。

公立高校

不登校になると公立高校への進学が難しいように良くいわれますが、決してあきらめる必要はありません。
公立高校の高校入試は、

  • 「学力検査点」
  • 「調査書点」
  • 「面接・作文・実技等のその他の項目の点数」からなる
  • 「総合成績」によって選考を行い、成績の良い順から合格を出します。

不登校になると中学校の成績がつかなくなるため、「調査書点」の部分は確かに不利になることがあります。
しかし、当日の学力検査(入学試験)の得点を合格最低ラインよりも高めること、面接・作文や実技を課す高校では、それらの得点を高めることで「調査書点」が削られる部分をカバーすることができます。

都道府県によって、「総合成績」を算出するための各項目の配点比率こそ異なりますが、「総合成績」の算出の基本的な仕組みは変わりません。
自分の地域の入試の仕組みをしっかり調べておくことで、チャンスを見出すことができるのです。

成績評価の仕組み

成績評価

自己申告書の活用

欠席が多かったり、成績がつかなかった場合、その事情を説明するために「自己申告書」という書類を高校に提出することができます。

高等学校入学者選抜の改善等に関する状況
(平成一一年四月七日 文部省初等中等教育局)

長期欠席、過年度卒業等の特別な事情のある場合に自己申告書を提出し
選抜の資料とするなどの形で、活用がなされている。
自己申告書等を提出する志願者について、学力検査等を重視した選抜を実施したり、調査書の評定については他の志願者とは区分して行うなどの取扱いが行われている。

これも都道府県により、取り扱いが異なるため自分の地域のルールをしっかりチェックしておく必要がありますが、こうした配慮も活用してチャンスを広げましょう。

特色ある公立高校

公立高校の中には、不登校を経験した生徒を積極的に受け入れている高校もあります。
主要3教科で受験できる高校や、面接・作文のみで受験できる高校もあります。
こうした高校は「定時制」「単位制」の高校に多くあります。

その他にも、専門学科や総合学科を備えており、実技試験の得点の比重が非常に大きい高校もありますので、美術、音楽等に興味のある生徒にとってはチャンスが広がります。

私立高校

一方、私立高校の選考は、高校ごとに様々になります。
「あくまでも参考程度」というお話しでしたが、
当日の試験重視の高校でも、「10日以上休んでいると難しい」と率直に言われる高校や、「以前もそうした生徒が合格していますよ」と肯定的な反応の高校もあります。

学校説明会等に参加して、受け入れの状況を確認しながら志望校を考えていくとよいでしょう。

中学生のうちにできる準備

中学生のうちに学校の授業への出席、学習成果物(課題・制作物)の提出、定期考査の受験ができるようになると、成績がつけられるようになるため、「調査書点」において不利になりにくくなります。
多くの場合、調査書に記載される評定には、第3学年の成績が重視される傾向がありますので、1~2年生の2年間が不登校でも挽回するチャンスがあります。

また、フリースクール等への登校でも在籍校の出席扱いにすることができる*ため、出席日数を増やしていくことができます。登校日数にカウントされるようになると、本人のモチベーションにも繋がり、在籍校へ復帰に弾みがつきます。

*学校外の公的機関・民間施設において相談や指導を受けた日数を、一定の要件を満たす場合に、指導要録上の出席扱いにできる。
文部科学省初等中等局長通知(一五文科初第二二五号)より

出席認定の流れ

出席認定の流れ

全日制、通信制など、様々な通学スタイルの高校の中からどの高校を選ぶかは、中学3年生の12月頃にどのくらい登校ができる状態になっているか、ということが一つの目安になります。

学力、生活習慣、人間関係力を含め、高校に通っていけるだけの準備を中学生のうちに進めていくことが重要です。

「学年制」と「単位制」の違い

学年制と単位制は、単位認定についての考え方が異なります。
「学年制」の高校では、1年ごとに進級認定がありますので、ある教科の単位を一つでも落としてしまったら、進級ができず、留年となります。
一方「単位制」の高校では、学年による区分がなく、もしある教科の単位を落としてしまっても、留年することはなく、取れなかった単位だけを来年度履修することができます。

学年制_単位制

「学年制」でも「単位制」でも共通しているのは、単位認定のためには出席が必要であり、卒業単位に達しなければ卒業はできないということです。
中学校とは違い、通わなければ卒業できないため、高校に通えるだけの学力・体力共に整えていくことが大切です。

高校の単位認定と卒業の要件

・出席すべき日数(時数)のうち、3分の2以上の出席
・評価2(5段階)以上で単位認定
・36ヵ月以上の在籍
・74単位以上の取得

 

全日制と定時制の違い

「全日制」とは朝から夕方までの昼間に開校している高校です。
「定時制」というとこれまでは夜間高校のイメージがありましたが、現在は定時3部制、4部制など、登校の開始時間が細かく分かれている学校が増えました。
登校の開始時間が遅い2部の倍率が高くなったり、部によって違う学校のように雰囲気が変わることがありますので、定時制については「部」ごとの特色を調べておくことが大切です。

全日制_定時制

「通学制」と「通信制」の違い

「通学制」と「通信制」の大きな違いは登校日数にあります。
普通の高校では、週に5日または6日登校する必要があります。
通信制高校とは、通信教育で高等学校の教育課程を履修する高校であり、月1~2回、もしくは年間5日程度の「スクーリング」で卒業することができます。

通信制高校の本校とは別に、普段通学する場所として「サポート校」や「キャンパス」を併設しているところが多く、高校によって登校すべき日数は週1~5日と様々です。

登校日数を少なくできるという点がメリットでもありますので、やみくもに週5日登校する環境を選ぶのではなく、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

通信制_サポート

学校のことを知る機会のいろいろ

これまで様々な高校の違いを見てきましたが、自分に合った高校を選ぶためには、実際に足を運んでみることが大切です。
学校のことを知るイベントは学校説明会だけに限らず、様々な機会があります。
ひとつひとつ解説していきますので、見学の際の参考になさってください。

授業公開

主に公立高校の行事で、入学を希望している人だけでなく、保護者や中学校の先生、地域の人たちにも学校を知ってもらう目的で、学校で行われている授業が公開されます。
学校によって開催時期、予約の有無など違いがありますので、学校のHPで詳細を確認してみましょう。

学校説明会・学校見学会

入学を希望する生徒と保護者向けに学校や入試の制度についての説明が行われるのが学校説明会です。
説明会よりもカジュアルな形式で、在校生の発表や校舎の案内などが行われるのが学校見学会です。
通常学校説明会より前に、学校見学会が始まります。

体験入学

入学を希望する中学3年生や中学2年生向けに行われ、高校で行われているカリキュラムをアレンジした授業を体験することができます。
実技系の学校に多く、人気校では抽選になることもあるので、早めにチェックしておきましょう。

合同説明会

数十から数百の学校が集まり、各校が個別のブースで学校の説明や相談を行うイベントです。
公立だけが集まるもの、私立だけが集まるもの、公立と私立が一緒になって行うものなど形態は様々です。

個別相談

ほとんどの学校では個別に相談の機会を設けています。
学校説明会のタイミングを逃してしまっても、直接問い合わせてアポイントを取れば、学校の先生に相談したり、校舎を案内してもらうことができます。
特に入学を希望する学校の場合は個別相談を受けた方が良いでしょう。

一般公開(体育祭・文化祭)

体育祭や文化祭も学校の雰囲気を知るいい機会です。ほとんどの場合予約も要らず、誰でも見学することができます。

高校生になる過程を大切に

現在では不登校であっても進学できる高校がたくさんあります。
入りやすい高校が増え、次の進路が繋がることにより多くの生徒が救われることになりました。

しかし一方で、高校選びが十分でなく、ミスマッチにより通えなくなってしまったというご相談も少なくありません。

入学するのが簡単なところや、親が行かせたいところに決めてしまうのではなく、本人がここで頑張っていきたいと思える環境を整えることが何より大切です。

高校は本人が通っていくものですから、最終的な選択は本人が決断させる必要があり、決断するために比較検討をしながら考えたこと経験は、高校への通学を続けるモチベーションにもなるのです。

ここに記した進路の情報を与えながら、学校を見学し、比較検討させ、志望校を決め、それに向かって受験勉強をするという経験を通して、心がだんだん高校生になっていきます。

高校に入学するから高校生になるのではなく、自分の進路を探し、それに向かって努力するから高校生に変われるのだと私たちは考えています。

ご家庭で高校のことを少しずつ話題にしたり、スタディパートナーと進路について話をしたり、外出同行で学校を見に行ったり、なんでもできることから少しずつ行動に移すことで、本人の考え方が成長してきます。

「学校って楽しい!」と思える高校生活を目指して、一歩一歩、歩んでいきましょう!