高校生の不登校の原因と7つの対応|最新データ・転校先候補・高卒認定も紹介
こんにちは。不登校専門の塾&家庭教師・キズキです。
高校生のお子さんが不登校で、お悩みではありませんか?
このページでは、私たちキズキの実績や文部科学省の最新データなどに基づき、不登校の高校生のために親御さんができることを徹底解説します。
一番大切なことは、「お子さんのことを、親だけ(ご家庭だけ)で抱え込まず、サポート団体を利用すること」です。
このページを読んでわかること
- 高校生の不登校の人数や割合
- 高校生の不登校の代表的な原因
- 不登校の高校生に親ができる対応
- 不登校から高校を変えるときの転校先
- 高卒認定試験の概要
このページをご覧になることで、高校生のお子さんも、親であるあなた自身も、「次の一歩」に進むきっかけがわかると思います。
私たち、キズキは、不登校のお子さんを、13年間で3,000名以上サポートしてまいりました。不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。少しでも気になるようでしたら、お気軽にご連絡ください。
※目次を見ると長いと思われるかもしれませんが、一つ一つの項目は短めになっています。リラックスしてお読みいただければ幸いです。
目次
高校生の不登校:最新データ
まずは、文部科学省の最新データに合わせて、不登校の定義や、高校生の不登校の割合・進路などを紹介します。
少し長いので、ご存知の方や興味がない方は、次章「高校生の不登校の「原因の解決」には意味がないこともある」まで進んで大丈夫です。
①不登校の定義
国(文部科学省)は、「不登校」の定義を次のように定めています。
何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いた者
公的には、次のような人は不登校には当てはまらないということです。
- 年間の欠席が29日以下の人
- 病気が原因で学校に行けない人
「29日欠席した人」と「30日欠席した人」で状況が異なるかは疑問ですが、公的にはそう定義されているとご理解ください。
②不登校の高校生の人数・割合
文部科学省の調査によると、全国の高校における不登校の人数や割合の最新データは、下記のとおりです。(参考:文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)
- 全高校生の人数:3,174,668人
- 不登校の高校生の人数:50,100人
- 不登校の高校生の割合:1.57%
- 参考:不登校の中学生の割合:3.9%
不登校の高校生は、60人に1人程度の割合だということです。
先述のとおり、「年間欠席が29日以下の方」や「発達障害の特性で学校が苦手な方」などは含まれません。
また、高校をすでに中退した人も含まれません。
つまり、「不登校の傾向がある高校生」や「学校が苦手な高校生」は、もっといると考えられます。
不登校の状態に不安を感じているあなたのための塾&家庭教師【キズキ】相談無料/関東・東海・関西(オンライン授業は全国対応)
詳しく見る高校生の不登校の「原因の解決」には意味がないこともある
お子さんが不登校の「次の一歩」に進むためには、不登校の原因・理由の追及・解決は、意味がないことがあります。
もちろん、原因や理由を知ることはお子さんの理解につながるため、全く意味がないわけではありません。
一方で、高校生のお子さんの中には、「どうして不登校になったのか自分でもよくわからない(でも、学校には行きたくない)」という子もいます。
お子さんは、自分で原因がわからないのに「なぜ不登校になったのか」と問われると、悩むばかりで追い詰められる可能性があるのです。
また、不登校になったきっかけを特定・解決できたからと言って、不登校の「次の一歩」に進めるとは限りません。
というのも、最初の原因を解決できても、不登校中に、学校に行きづらい新たな理由が発生することもあるからです。
例
- ①先生から理不尽に怒られたことが原因で、不登校になった
- ②先生の謝罪で関係が修復し、原因は解決した
- ③でも、「不登校中に昼夜逆転になっていた」「勉強についていけなくなっていた」「友達の目が気になる」などのため、不登校が継続する
逆に、原因が解決しないままでも、「次の一歩」に進めることもよくあります。
例
- ①先生から理不尽に怒られたことが原因で不登校になった
- ②先生からの謝罪はなく、原因は未解決のまま
- ③でも、「先生が別の学校に異動した」「仲のいい友達ができて先生のことが気にならなくなった」「転校した」などで、登校再開などの「次の一歩」に進めた
したがって、原因にこだわりすぎず、不登校のお子さんが「次の一歩を踏みだそう」と思うまで、気長に待つ姿勢を忘れないようにしましょう。
その際、後述するサポート団体を利用すると、より適切な「待ち方」や「接し方」がわかります。
ただし、「病気が原因なら治療が必要」など、一部の原因には対応も必要です(公的には、病気による欠席は不登校には含みませんが)。
また、「次の一歩」とは、「今の学校・クラスへの登校再開」とは限りません。
「保健室登校」「違う種類の高校へ転校」「高卒認定試験を通じて大学受験を目指す」など、複数のルートがあることを覚えておくと、きっと気持ちが楽になります。
いずれにせよ、お子さんのペースに合わせて、お子さんに合った選択を一緒に考えていきましょう。
高校生が不登校になる原因~最新データ~
「原因にこだわりすぎる必要はない」とは言いましたが、気になるのが親心でしょう。
文部科学省が、不登校に関わる原因を主に「学校・家庭・本人」の3つに分けて集計していますので、参考としてご紹介します(出典:文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)
①学校に関わる原因
いじめ | いじめを除く 友人関係の問題 |
教職員との関係 をめぐる問題 |
学業不振 | 進路に係る不安 | クラブ・部活動等 への不適応 |
学校のきまり等 をめぐる問題 |
入学・転編入学 ・進級時の不適応 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主たる原因 である割合 |
0.3% | 14.1% | 0.7% | 7.9% | 5.9% | 1.2% | 1.4% | 8.4% |
主たる原因 ではないが あてはまる割合 |
0.1% | 2.9% | 0.5% | 5.0% | 3.0% | 0.9% | 1.0% | 2.1% |
②家庭に関わる原因
家庭の生活環境 の急激な変化 |
親子の関わり方 | 家庭内の不和 | |
---|---|---|---|
主たる原因 である割合 |
1.9% | 3.9% | 1.8% |
主たる原因 ではないが あてはまる割合 |
0.9% | 3.8% | 1.4% |
③本人に関わる原因
生活リズムの乱れ ・遊び・非行 |
無気力・不安 | |
---|---|---|
主たる原因 である割合 |
13.0% | 32.3% |
主たる原因 ではないが あてはまる割合 |
4.0% | 7.0% |
④高校生の不登校の原因トップ3
上に挙げた高校生の不登校の主たる原因のトップ3は、下記のとおりです。
- ①無気力・不安
- ②いじめを除く友人関係の問題
- ③生活リズムの乱れ・遊び・非行
しかし、その背景にはさらに様々な「原因」が絡んでいると考えられます。
それを本人が自覚しないまま、「無気力・不安」といった「気分」が引き起こされて、不登校になっていることもあるのです。
実際、私たちキズキの生徒さんにも、「自分でもよくわからないけれど学校に行けなくなった」という高校生は少なくありません。
いずれにしても、親御さんだけ(ご家庭だけ)で、「不登校の原因がなんなのか、対応をどうすべきか」を抱え込まず、後でご紹介するサポート団体を利用してください。
キズキ家学の事例による、高校生の不登校の原因の例
続いて、私たちキズキ(特に家庭教師キズキ家学)の事例から、高校生の不登校の原因の例をより具体的にご紹介します(より大きな観点については、「不登校の7つのタイプ」をご覧ください)。
ひとつは、「将来・進路への不安」が関係するパターンです。
一般的に、高校生の卒業後の進路は、中学生までと比べて多岐にわたります。
大学・専門学校などへの進学は、単純な「学校選び」にとどまらず、将来の職業選択にも関わります。
高卒後に就職する場合も、「どの業界が向いているか」「一生その仕事を続けるべきか」などを考え続けます。
そうした状況にある高校生は、「自分はどのように生きて行けばよいだろうか」という不安や悩みがつきず、アイデンティティが見つからず、不登校になるのです。
例えば、次のようなイメージです。
例
- ①「高校卒業のために、直接的にやらなくてはいけないこと(出席や勉強など)」はよくわかっている
- ②けれども、「高校卒業後に、自分の意思でやりたいこと(進学したい学部や就職したい業界など)」がない
- ③そのために、将来に対して希望を持てず、無気力になり、学校に行けない
出席しなければ単位が取得できない(進級・卒業できない)ことはわかっていても、どうしても高校に行けず、時間ばかりが経過していくのです。
ほかに、小学校や中学校からの不登校が長期化しているパターンでは、「同世代との差が開いていくことへのあせりによる悪循環」を挙げることができます。
例えば、次のような感じです。
例
- ①それまでの「遅れ」を一気に挽回したいと考えるようになる
- ②「有名大学に行かなければならない」という思いに駆られる
- ③登校を再開したり、受験勉強を開始したりしたいが、慣れていないので思うようにいかない
- ④さらにあせって、ますますうまくいかない
こうした様々な原因で、登校する気力が次第に低下する(登校できないままになる)のです。
不登校の高校生に、親ができる7つの対応
不登校の高校生の子どもに対して親ができる対応は、様々です。
前提として意識していただきたいのは、「お子さんのことを、親だけ(家庭だけ)で抱え込まず、不登校のサポート団体を利用すること」です。
その上で、「気長に寄り添う姿勢」も大切です。
上記を前提としながら、以下の対応を試していってみてください(あなたのお子さんにどう試していくかについても、サポート団体を利用することで具体的にわかっていくはずです)。
なお、この7つの対応は、小中高校生に共通してできるものです。特に高校生向けの対応としては、次章以下に2点ご紹介します。
対応①学校を休んでもいいと伝える
お子さんに、「学校を休んでもいいよ」と、言葉にして伝えましょう。
不登校のお子さんは、「学校を休みたいけれど、休むのはよくない。でも学校に行くのはつらい」と悩んでいます。
親御さんが「休んでもいいよ」と伝えることで気持ちが楽になり、「親は自分の味方だ」と安心することができます。
お子さんの安心は、親子関係において、「お互いに相談しやすくなる」というメリットにもつながります。
出席日数が不足すると、進級・卒業できなくなる可能性はありますが、その後で転校できる高校もたくさんあります(後で紹介します)。
対応②ねぎらいやがんばりを認める言葉を伝える
子どもが学校を休みたいと言い出したときには、すでに、悩み苦しみがんばりきった後の状況であることが多いです。
がんばって悩み抜いた結果として不登校になったのだと理解しましょう。
その上で、本人の努力や我慢をねぎらう言葉を掛けることが大切です。
■声かけの例
- 今まで大変だったんだね
- ずっとがんばっていたんだね
こうした声掛けは、子どもの中の緊張やわだかまりを解きほぐし、「次のステップ」を考えはじめる糸口になりえます。
対応③子どもの話にきちんと耳を傾ける
子どもから学校についての相談を受けるとき、つい「甘えている」「怠けている」と思って、話半分に聞くことがあるかもしれません。
ですが、お子さんにとっては、深刻な話です。
軽く受けとめられたり、適当に聞き流されたりすると傷つきます。
頭ごなしに否定したり聞き流したりせずに、まずは、本人の話にじっくり耳を傾けてください。
高校生のお子さんは、自分の気持ちをうまく表現できなかったり、親御さんに素直になれなかったりすることもあるでしょう。
急かさずに、丁寧に話を聞くようにしましょう。
親御さんに「具体的な回答」が思いつくこともありますし、思いつかなくても、相談自体に暗い気持ちや不安を払しょくする効果があります。
対応④担任の先生やスクールカウンセラーと連絡を取り合う
学校での様子を知るためにも、担任の先生やスクールカウンセラーと密に連絡を取りあうことが大切です。
家庭では気づかなかったお子さんの悩みに気づくきっかけにもなりえます。
また、お子さんが将来的な登校を希望しているようなら、「そのときのために、家でやっておくといいこと」などもやりとりしやすいです。
対応⑤保健室登校(別室登校)を提案する
保健室登校(別室登校)とは、文字どおり、教室ではなく保健室(別室)に登校する仕組みのことです。
不登校の子どもは、「学校に行けないことに対する悩みや罪悪感」を持ちがちです。
罪悪感は自信や気力を奪い、新たな「学校に行けない理由」になる場合があるのです。
「教室には行けないけど、保健室(別室)なら行ける」という状態は、罪悪感を和らげる効果があります。
担任の先生と「保健室登校が可能かどうか」を前もって相談した上で、お子さんのペースに合わせて提案するのがよいでしょう。
対応⑥不登校支援をしている団体に相談する
何度か繰り返すとおり、不登校の高校生や親御さんを支援している団体にぜひ相談してみてください。
支援団体(相談先)の例としては、次のようなものがあります。
■公的団体の例
- 市区町村の子育て相談窓口
- 児童相談所、児童相談センター
- ひきこもり地域支援センター
- 教育支援センター・適応指導教室
- 発達障害支援センター(発達障害の関係があるとき)
- 小児科・児童精神科(民間の病院もあります)
■民間団体の例
- 不登校の親の会
- フリースクール(次項で説明します)
- 不登校に対応した塾や家庭教師など(次項で説明します)
- カウンセラー
支援団体を利用するメリットは、次のとおりです。
- 様々なケースを通じて蓄積した専門知識やノウハウに基づいて、具体的な「解決策」が提示される
- 話をするだけでも、親子の不安・ストレス緩和につながる
公民問わず、不登校の高校生と親御さんをサポートする団体はたくさんあります。
お住まいの地域にある相談先は、「○○市 高校生 相談」「○○県 不登校 相談」などとインターネットで検索すると見つかります。
公的な相談窓口の場合は、市区町村役所の総合窓口に聞いてみるのもよいでしょう。
対応⑦家庭教師などの学校以外の学びを検討する
学校以外にも、フリースクールなどのように、学びの場は多数あります。
不登校のお子さんが、学校の代わりに通える場所のこと。実施内容は、スクールごとに特色があります。学校の校長先生の承認があれば、フリースクールに通った日数を学校の出席分としてカウントすることもできます。
不登校の高校生に対応した家庭教師もあります(私たちキズキもその一つです)。
学校外の学びの場を利用すると、学力の向上だけでなく、家族以外とのコミュニケーションに慣れることもできます。
インターネットで「フリースクール ○○市」「不登校 家庭教師」などと検索すると、候補が見つかると思います。
特に、親子のコミュニケーションについての対応
高校生になると、自我が確立されつつあり、親の方針では動かせなくなってきます(もちろん、お子さんが何歳であれ、お子さん本人の意思を尊重することは大切ですが)。
お子さんが将来に向けて動き出していくためには、親と第三者(サポート団体など)が協力して、子どもの気持ちを否定せずに受け入れる必要があります。
また、親御さんの不安や心配はもっともですが、本人が一番あせっています。
親御さんは、世間体や同級生との比較を持ち出さないようにしましょう。
お子さんに見聞を広げるための機会や情報は提供しながらも、子ども自身が自らの意思で選択し、実行し、達成するまでを粘り強くサポートしていくことが大切です。
お子さん自身が「これだ」と思うことを見つけることができると、その目標を達成するために通過しなければならないことにも打ち込めるようになっていきます(例:大学受験に向けて受験勉強を始める)。
ただし、お子さんの心は揺れ動くものです。
例えば受験勉強や就職活動を始めても、途中でくじけそうになることもあるでしょう。
そんなときは、「やっぱりダメだ」とは思わず、「よくチャレンジしたね」とできたことをほめるようにしましょう。
また、積極的な夢や目標は、「なくてはならない」というものでもありません。
お子さんが「少しだけ興味があるレベルの目標」や「消極的な目標(例:転勤のない仕事に就くための大学・学部に行きたい)」を口にしても、否定せず、その価値観に寄り添っていただければ幸いです。
その上で、目標が積極的であれ消極的であれ、大人の目から見てあまりにも非現実的な場合には(例:勉強から離れているけど、今年の受験で東大に合格したい)、サポート団体を利用しながら、お子さんとしっかり話し合っていきましょう。
特に、大学選びについての対応
大学受験を考えている場合は、大学の偏差値やブランドで選ぶのではなく、「やりたいこと」を基準に志望校探しを始めるのがオススメです(逆に、「やりたくないことをしなくていい」という基準で探しても問題ありません)。
大学での勉強は、それまでの学校とは違い、やりたいことの専門性を突き詰めることができるため、子どもたちにとって、なじみやすい環境となることも少なくありません。
また逆に、消極的な目標からも、環境を調整しやすいです(例:早起きが苦手なので朝の時間帯に授業を入れなくていい大学に行きたい、大勢と関わるのが苦手なので少人数の大学に行きたい)。
繰り返すとおり、サポート団体を利用しながら、大学受験や大学生活に向けて、学力、生活習慣、人間関係力を身につけていくために準備していきましょう。
不登校の高校生の転校先について
不登校からの「次の一歩」としては、「他校への転校(編入・転入)・再入学」も有力な選択肢です。
高校生の不登校の場合、進級・卒業には、欠課時数(欠席日数)の上限などの条件があるため、中学校までと比べて在籍校への復帰が難しい場合もあります。
高校卒業を目指すなら、在籍校へ配慮のお願いもしながら学校復帰を目指していく方法もありますが、同時に、転入学ができる高校など、他に所属できる場所も探していきましょう。
お子さんが高校を中退すると、いきなり所属がなくなり、社会とのつながりが希薄になります。
常にセーフティネットを用意しながら対応していくことが大切です。
以前とは異なるシステムの高校に移ることは、お子さんが自分に合ったペースで勉強できるだけでなく、心機一転して新しい生活を始めるきっかけにもなりえます。
以下に、不登校の高校生の転校先として、オススメできる高校の種類と特徴を簡単にまとめました。
通信制高校 | 定時制高校 | チャレンジスクールなど | |
---|---|---|---|
制度 | 単位制 | 学年制と単位制がある | 基本は単位制 |
登校頻度 | 基本は指定のスクーリング日のみ | 平日毎日(夕方~夜が多い) | 平日毎日(時間の枠を選択) |
卒業年数 | 最短で3年 | 3〜4年 | 3〜4年 |
授業難易度 | 通常はやさしい | 通常はやさしい | 通常はやさしい |
ご紹介した高校は、いずれも登校頻度・時間に融通が利きやすく、比較的マイペースに勉強できます(不登校の学生に特に人気の高い通信制高校は次章で詳しく解説します)。
不登校などで高校生活に難を抱えていた学生の受け入れに注力している学校も少なくありません。
不登校の高校生には、転校・再入学できる高校がたくさんあるとご安心ください。
うち、チャレンジスクールとは、東京都立の高校で、小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒や長期欠席等が原因で高校を中途退学した方などを主に受け入れている学校です。
東京都以外にも似たような学校があるので、お住まいの都道府県の高校を調べてみることをオススメします。
一方で、一般的に「高校」と言ったときに思い浮かべる、平日に毎日朝から夕方に通う「全日制高校」への転校・再入学は、あまりオススメできません。
全日制高校は、転校・再入学の受け入れ枠が少ないからです。
また、仮に転校できても、「不登校・中退の経緯をクラスメイトに話すのがイヤで、再度不登校になって中退した」という話は珍しくありません。
「絶対に無理」とはもちろん言いませんが、全日制高校を希望する場合は、「なぜ全日制高校に行きたいのか」「実際の転校先候補の雰囲気はどうか」などについては、お子さんと慎重に検討するようにしましょう。
不登校の高校生には通信制高校が向いている
「不登校の高校生には、通信制高校への転校・再入学が向いている」という意見を耳にしたことはありませんか?
実際、通信制高校には不登校の学生にマッチしやすい特徴が複数あります。
基本的な制度・学習環境の確認をしながら、以下に通信制高校の特徴を紹介します。
①通信制高校の基本的情報
通信制高校とは、学校から配布される教科書や動画などの教材を用いて行う、自宅学習がメインの高校です。
■通信制高校の特徴
- 正規の高校なので、卒業すれば学歴が「高校卒業」になる
- 「平日に毎日の登校」が必要なく、学校が定めた登校日(スクーリング日)のみ登校する
- 毎日の登校が必要がないので、毎日通う高校(全日制高校、定時制高校)よりも自由度が高い
- スクーリングの頻度は、学校によって大きく異なる
- 単位取得は、「レポートの提出」「スクーリング」「試験」などで行う
- 他の高校から転入・編入してきた人が多い
実際、2017年度では、一度高校を中退して「別の高校」または「同じ学校の別の学科」に編入した6,107人のうち、76.7%(4,682人)が通信制高校を選択しています(参考:文部科学省※PDF「平成29年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」)
②不登校の高校生に通信制高校が向いている3つの理由
不登校の高校生が通信制高校に向いている理由は、次の3つです。
■理由
- ①自分のペースで生活・勉強できる
- ②学校の人間関係に悩む機会が減る
- ③履修コースを柔軟に変えられる
通信制高校は毎日の登校が必要なく、自宅学習が軸なので、生活も勉強も自分のペースで進めることができます。
前の(今の)学校で授業のペースが自分に合わなかった人も、スムーズに勉強を進められるでしょう。
また、毎日の登校が必要ないため、学校の人間関係に悩むことも少なくなります。
集団生活が苦手だったり、前の(今の)学校で人間関係に苦労していたりする人は、過ごしやすくなるでしょう。
その上で、特に私立高校ならば、体調などに考慮して、スクーリング回数を増やしたり減らしたりするなど、履修コースを柔軟に選択・変更できます(公立の通信制高校では、スクーリング日や試験日が限定されていることが多いです)。
「気力・体力的に今は通学できないけど、元気になったら多く通学したい」という希望を叶えやすい、ということです。
ただし、毎日の通学が必要ない分、勉強や進路へのサポートが手薄な学校もあります。
また、勉強や生活のペースを保ったり、毎日会える話し相手がいなくて寂しかったりすることもあるようです。
家庭教師や塾を併用することで、高校卒業とともに受験勉強やメンタルの安定に役立つと思います(就職を目指す場合は就活支援サービスもあります)。
高卒認定試験という選択肢:高校中退しても大学進学できます
最後に、高校を不登校で、転校・再入学にも気が向かないお子さんのために、高等学校卒業程度認定試験(略称:高認、高卒認定、高卒認定試験)について紹介します。
高卒認定試験に合格すると、高校を卒業しなくても(不登校から中退しても)、大学や専門学校の受験・入学が可能になります。
①高卒認定試験の概要
高卒認定試験は、合格すると「高校を卒業した人と同等以上の学力がある」と認定される、文部科学省が実施する試験です。
合格すると、次のようなことが可能になります。
■高卒認定合格で可能になること
- ①高校で、高認の合格科目が単位認定される場合がある
- ②大学・短大・専門学校の受験資格が得られる
- ③一部の国家資格や公務員試験の受験が可能になる
- ④高卒が必要な民間企業に就職できる場合がある
高卒認定試験は、年に2回実施されます。
受験できるのは、高卒資格がない、試験日の年度末に満16歳以上になる方です。
つまり、「一度高校に入学して、高校を卒業していない方」は、誰でも受験できるということです。
合格のためには、原則として8~10科目の筆記試験(マークシート方式)で基準点をクリアする必要があります。
ただし、8〜10科目を一度に全て受験して合格する必要はありません。
受けたい科目だけを受ける、合否は科目ごとに判定される、高校で単位を取得した科目では試験を免除される(上記①の逆です)など、お子さんの現状に合わせて、受験の内容は柔軟に変わります。
注意点としては、高卒認定試験の合格は「学歴」にはならないということは覚えておきましょう。
高校を中退している場合、高卒認定試験に合格しても、その後に大学や専門学校を卒業しなければ、最終学歴は「高校卒業(高卒)」ではなく「中学卒業(中卒)」のままとなります。
②高卒認定試験合格のためには、塾や家庭教師の利用がオススメ
高卒認定試験に最短で合格するためには、「自分に(お子さんに)とってどの試験科目が免除になるのか」「どのような順番で科目を勉強すれば効率的か」などを考えてから学習を開始することが大切です。
そのためにオススメしたいのは、「高卒認定試験に詳しい学習塾や家庭教師などを利用すること」です。
そうした塾や家庭教師は、お子さんの状況や学力に合わせて、適切なアドバイス・カリキュラム作りを行います。
また、高卒認定試験合格後の進路相談・受験勉強などにもスムーズに接続できます。
勉強に集中できる環境を整える意味でも、まずは無料相談を実施している学習塾や、家庭教師を探してみましょう(私たち、キズキもそのひとつです)。
親御さん自身のリフレッシュも大切です
最後に、不登校のお子さんを持つ親御さん自身のリフレッシュについて、お話しします。
お子さんが不登校だと、親御さん自身も、以下のような悩みを抱えがちです。
- 自分の育て方が悪かったのではないか
- 不登校がずっと続いたらどうしよう
- 子どもとのコミュニケーションがうまくいかない
上記のような思いから、親御さん自身が心の調子を崩すこともあります。
お子さんのケアはもちろん大切ですが、あなた自身の生活も充実させるようにしてください。
親御さんの充実した姿を見たお子さんは、将来に対してポジティブなイメージを持つことができます。
また、親御さんの安定が、お子さんの心にゆとりをもたらします。
「子どもが不登校なのに…」という気持ちはわかりますが、ぜひ、親御さん自身も、休日などの空いた時間を活かして、リフレッシュするように努めてください。
まとめ〜不登校の高校生は、必ず「次の一歩」に進めます
以上、不登校の高校生の最新データ、不登校の原因、転校先候補の高校、高卒認定試験などについて解説してきました。
繰り返しにはなりますが、原則として大切なのは、「お子さんのことを親だけ(家庭だけ)で抱え込まず、支援団体を利用すること」です。
その上で、不登校のお子さんが「次の一歩を踏みだそう」と思うまで、気長に待つ姿勢を忘れないようにしましょう。
お子さんは、必ず「次の一歩」に進めます。
この記事が、お子さんとあなたの役に立ったなら幸いです。
さて、私たち、キズキは、不登校のお子さんのための塾&家庭教師です。
13年間で3,000名以上、不登校のお子さん・親御さんをサポートしてまいりました。
不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。
少しでも気になる方は、お気軽にご連絡ください。