子供が学校に行きたがらない…親にできる5つの対応と6つのNG行動
子供が学校に行きたがらないと、親御さんにはいろいろな不安があることでしょう。
「このまま不登校になるのだろうか」「強く叱った方がいいのだろうか」などとお悩みかもしれませんね。
この記事では、キズキでよくお話ししている「子供が学校に行きたくないと言ったときの親のNG行動と、取るべき対応」をご紹介します。
このページを読んでわかること
- 子供が学校に行きたがらないときの親のNG行動
- 子供が学校に行きたがらないとき、親がとるべき対応
- 学校に行きたがらない子供の勉強が不安になったら?
この記事が、学校に行きたがらない子供はもとより、親であるあなたのためにもなれば幸いです。
私たち、キズキは、学校に行きたがらないお子さん、発達障害や不登校のお子さんを、13年間で3,000名以上サポートしてまいりました。無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。少しでも気になるようでしたら、お気軽にご連絡ください。
目次
学校に行きたがらない子供は増え続けている
学校に行きたがらない子供をお持ちの親御さんは、このような気持ちを抱えがちです。
ですが、「学校に行きたがらない子供」「不登校の子供」は、実は珍しいことではなく、あなたの子供「だけ」というわけではありません。
令和元年度の文部科学省の調査では、全国の不登校者数は以下のようになっています。(参考:文部科学省※PDF「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)
- 小学生:53,350人(全小学生の0.8%、約120人に1人)
- 中学生:127,922人(全中学生の3.9%、約26人に1人)
- 高校生:50,100人(全高校生の1.6%、約60人に1人)
割合としては少ないかもしれませんが、人数は決して少なくありません。
なお、この数字は「文部科学省の定義による不登校」の数であり、例えば年間欠席が29日以下の人や、病気に関連して学校に行けない人などは含んでいません。
また、すでに中退した高校生も含みません。
つまり、「学校に行きたがらない子供」は、上記の数字よりも多いということです。
さらに、不登校の人数は、年々増え続けてもいるのです。
「学校に行きたがらない」という気持ちや、不登校は、どのようなご家庭でも、どのような子供でもなりえます。
そして、そうした子供がたくさんいるということは、そうした子供や親御さんへの「対応」を、様々なサポート団体が実施しているということでもあります。
学校に行きたがらないことや不登校であることは、それ自体は、いいことでも悪いことでも特別なことでもありません。
それらに伴う苦労は否定しません。
ですが、その後で、登校を再開したり、学校の外で勉強したり、進学したり、将来的に就職したりすることは、キズキの事例だけを見ても全く珍しくありません。
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詳しく見る学校に行きたがらない子供への、親の6個のNG行動
私の対応は正解だったのでしょうか?
子供への対応は、親御さんとしても一番迷うところではないでしょうか。
この章では、子供が学校に行きたくないと言ったときに、親が取ってはいけないNG行動をご紹介します。
NG行動の裏返しとも言える「取るべき行動」は、次章でご紹介します。
NG行動①叱る
子供が学校に行きたくないと言ったら、つい「何を言っているの!」「いいから行きなさい」「わがままを言うんじゃない」などと叱りたくなることもあるでしょう。
しかし、叱るのは逆効果です。
「叱ってでも学校に行かせたら、そのうち行きたくない気持ちも変わるだろう」と思う親御さんもいますが、無理な登校がさらに子供の心を傷つけ、本格的な不登校やひきこもりに繋がることもあるのです。
また、「親は自分のことをわかってくれない」という不信感にも繋がりえます。
NG行動②感情的になる
「叱る」とも似ていますが、感情的な対応もNGです。
子供は、「『学校に行きたくない』と言ったら怒られるかもしれない…」と不安な気持ちで親に訴えています。
そのようなときに親が感情的に対応すると、子供は委縮して、それ以上自分の気持ちを言えなくなります。
「叱る」意外にも、「理由を言って!」という問い詰めや、「友達は行ってるでしょ!」という他の子供との比較なども考えられます。
子供が学校に行きたがらないときに、不安のあまり感情的になる気持ちはよくわかります。
しかし、子供は自分以上に不安や恐怖を抱いて、その気持ちを打ち明けてくれているのだということを知っておきましょう。
NG行動③本気で聞かない
仕事、他のきょうだいのこと、介護などで忙しいときに、「学校を休みたい」「学校に行きたくない」と言われたら、つい聞き流してしまうこともあるでしょう。
しかし、子供の小さな一言は、重大なSOSであることもあります。
子供は勇気を振り絞って「学校に行きたくない」と親に訴えているのです。
小さなサインでも見逃さないことが、とても重要です。
NG行動④他人に対応を任せる
学校に行きたがらない子供が気持ちを打ち明けたとき、対応を先生や配偶者に任せる親御さんもいます。
「担任の先生が信頼できるベテランの先生だから」
「大切なことはお父さんに(お母さんに)対応してもらわないと」
理由は様々でしょうが、せっかく気持ちを打ち明けた子供は、あなたが対応を他者に任せることで、心が傷つきます。
子供は、「あなた」につらい気持ちを聞いてもらいたくて、学校に行きたくないと打ち明けたのです。
まずは、あなた自身が子供の言葉を受け止めて対応するようにしましょう。
ただしこれは、「あなた一人で対応しましょう」という意味ではありません。
実際の(直近の)対応は先生や配偶者を頼るとしても、「他人に任せっきりにせず、付き添ったり、声かけしたり、気にかける姿を見せたりする」ということです。
周囲の協力とアドバイスも、子供が「次の一歩」に進むためには重要です。
親は子供の気持ちを受け止めながら、適切にサポートを求めましょう。
NG行動⑤学校に行きたがらない原因にこだわる
子供が学校に行きたがらない原因・理由には、こだわりすぎないようにしましょう。
子供は、自分がなぜ学校に行きたくないのかをうまく言葉にできないこともあります。
また、学校に行きたがらないことには、「明確な原因」があるとも限りません。
そんな子供に「原因はなんなの?」と聞いても話は進みませんし、子供は問い詰められるような気持ちになって、ますます落ち込むでしょう。
そして、原因の解明や解決は、「学校に行きたがらない状態」の解消とは関係ないこともあります。
例えば、「先生からの理不尽な叱責」が原因で、学校に行きたがらないとします。
この場合、「先生から謝罪があり、それを受け入れること」は、原因の解決と言えるでしょう。
しかし、「また同じようなことがあるかも」と思うと、学校に行きたがらない気持ちは減らないかもしれません。
逆に、先生からの謝罪がないままでも、「仲のいい友達が励ましてくれたおかげで、先生のことが気にならなくなった」などの場合は、原因が解決しなくても気持ちは変わります。
NG行動⑥今の学校や登校再開にこだわる
「今の学校」や「登校再開」にも、こだわりすぎないようにしましょう。
学校は、たまたま同じ年齢の人が同じクラスに集まる場所ですし、担任の先生もたまたま担当になった人です。
人間関係などがうまくいくかは、不確定な要素が多いです。
私立の場合は、ある程度似たような児童・生徒が多いかもしれませんが、それでも合わないことはあります。
「今の学校」にこだわると、子供に合った「次の一歩」が見えなくなることもあるのです。
また、「学校という仕組み」がどうしても合わない子供もいます。
学校に行きたがらない子供に親が取るべき5つの対応
前章で述べたNG行動の裏返しとも言えます。
対応①子供が打ち明けたときは、感謝を伝える
子供が学校に行きたくない気持ちを打ち明けてくれたことに対して、言葉にして感謝を伝えましょう。
例
- よく言ってくれたね
- 気持ちを打ち明けてくれてありがとう
先述したように、子供が「学校に行きたくない」と打ち明けるときは、「叱られるのではないか」という恐怖や不安を抱えています。
感謝を伝えることで子供の心はそれでグッと軽くなりますし、親子の信頼関係を増すことにもつながります。
また、子供が自ら「学校に行きたくない」とSOSを出せる状態であることは、早めの対応ができるということでもあります。
中には、学校でつらい目にあっても、親に言わずに元気なふりをしてがんばる子もいます。
そうすると、いつか心身に限界が来て、傍目にはいきなり不登校になったように見えたり、体調を崩したりすることもあるのです。
もちろん、そうなってからの対応もたくさんありますが、早めに対応できた方が、お子さんの苦しみは少なくなります。
子供が勇気を持ってSOSを出してくれたことを受け止め、感謝を伝えましょう。
対応②「休んでいい」と言葉で伝える
子どもに、言葉にして「学校を休んでいいよ」とも伝えましょう。
学校に行きたがらない子供は、学校でつらい思いをして心身ともに疲弊しています。
学校、勉強、人間関係などに向かうエネルギーがない状態と言っていいでしょう。
親御さんは、家庭の居心地をよくして、十分に子供を休ませてあげてください。
食事、睡眠、入浴をしっかり取らせ、子供がゲームなど好きなことをして過ごすのを温かく見守るようにしましょう。
あせらずゆったり見守ることが大切です
対応③子供を受け入れるコミュニケーションで親子の信頼関係を築く(増やす)
子供の気持ちを受け入れるようなコミュニケーション・会話をするようにしましょう。
「学校に行きたくたくない」「勉強したくない」という気持ちを、否定せずに受け止めるのです。
これは、甘やかしではありません。
子供は、「親は自分を受け入れている(自分は親に受け入れられている)」と思うことで、登校再開も含めて、「次の一歩」に進むための気力が回復していきます。
家庭という「安心できる場所」、親という「理解してくれる存在」があるからこそ、家庭の外に出ていく気持ちになれるのです。
コミュニケーション・会話の例
- 学校に行きたくないなら、お母さんと料理をしようか?
- 勉強したくないのなら、お父さんと一緒に本を読むことはできるかな?
難しいかもしれませんが、できる限り子供を否定せず、明るく前向きな会話を心がけるようにしてください。
なお、子供が「親と話したくない」のであれば、ひとまずは無理に会話をする必要はありません。
そんな場合も含めて、親子のコミュニケーションの取り方は、サポート団体などに相談していきましょう。
対応④場合によっては、原因に対応する
前章では、「子供が学校に行きたがらない原因にこだわらない方がいい」とお伝えしましたが、対応した方がいい原因もあります。
例えば、次のようなことです。
原因に対応した方がいい例
- いじめが関係する
- 発達障害が関係する
- 精神疾患(うつ・統合失調症など)が関係する
- 家庭の問題が子供の心を傷つけている
いじめについては、まずは学校に対応を求める必要があるでしょう(場合によっては、転校も考えられます)。
発達障害や精神疾患は、本人にも自覚がないことがあります。
これらは、まずは医療機関への相談が必要です。
家庭の問題については、親御さんに自覚がないこともあります。
これを読んでいるあなたについて「子供を傷つけている」と言うつもりはありません。
ですが、子供の心は何によって傷つくのか千差万別です。
また、「一般的には問題ない言動」に傷つく子供もいるでしょう。
次項で紹介するサポート団体は、親自身についての相談も行っていることが多いので、ぜひ利用してみてください。
対応⑤ サポート団体を利用する
学校に行きたがらない子供をサポートする団体はたくさんあります。
ぜひ、そうした団体を利用してください。
支援団体(相談先)の例としては、次のようなものがあります。
公共団体の例
- 市区町村の子育て相談窓口
- 児童相談所、児童相談センター
- ひきこもり地域支援センター
- 教育支援センター・適応指導教室
- 発達障害支援センター(発達障害の関係があるとき)
- 小児科・児童精神科(民間の病院もあります)
民間団体の例
- 不登校親の会
- フリースクール
- 不登校に対応した塾や家庭教師
- 心療内科やクリニックなどのカウンセラー(公認心理師など資格や専門知識のあるカウンセラー)
支援団体を利用するメリットは、次のとおりです。
- 様々なケースを通じて蓄積した専門知識やノウハウに基づいて、具体的な「解決策」が提示される
- 話をするだけでも、親子の不安・ストレス緩和につながる
- 「学校に行きたがらない原因」に直接的に対応すべきかどうかなどもわかる
お子さんのことを、親だけで抱え込まないことが大切です。
学校に行きたがらない子供の勉強が不安なときの相談先
しかし、学校に行かないと勉強についていけなくなるんじゃないかと心配です。
その不安はごもっともです。
登校再開や、今後の受験・進学後のことを考えると、「勉強面の不安」は当然のことでしょう。
しかし現在では、学校以外でも勉強ができる場所はたくさんあります。
不登校専門の学習塾や家庭教師も増えています(私たち、キズキもそのひとつです)。
子供の学年や性格に合わせて、学習教材や家庭教師などを上手に利用してみましょう。
無料相談や体験利用を行っているところも多いので、試しにやってみて、どこが合うかを確認することも可能です。
学校以外で勉強ができる場所・ツールなど
上記以外にもありますので、インターネットで調べたり、前述のサポート団体に聞いたりして、子供に合いそうなところを試してみてください。
まとめ〜学校に行きたがらない子供も、将来は広がっています〜
その上で、学校に行きたがらない子供をサポートする団体への相談をオススメします。
学校に行きたがらない子供も、必ず「次の一歩」に進めます。
この記事が、お子さんと、親であるあなたのお役に立ったなら幸いです。
さて、私たち、キズキは、不登校のお子さんのための塾&家庭教師です。
13年間で3,000名以上、不登校のお子さん・親御さんをサポートしてまいりました。
不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。
少しでも気になる方は、お気軽にご連絡ください。
監修:安田祐輔
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
【新著紹介】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【著書など(一部)】
『暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』)
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
共同監修:半村進
はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。