お子さんの発達障害の、担任の先生への伝え方〜適切な配慮のために〜

こんにちは、発達障害や不登校専門の塾&家庭教師・キズキです。

小学校3年生の息子には発達障害があります。担任の先生にどう伝えるべきでしょうか?

発達障害がある子どもの中には、学校での特別な配慮が必要な場合もあります。

「自分の子どもに配慮してもらいたいのだけど、担任の先生に発達障害のことをどう伝えるべきかわからない」とお悩みの親御さんは少なくありません。

発達障害のことを伝えたくなかったり、確定診断のないグレーゾーンのために配慮を言い出しづらいケースもあるでしょう。

この記事では、発達障害のお子さん(診断の出ていないグレーゾーンのお子さんも含む)のことを、どのように担任の先生に伝え、配慮を依頼するかをお話ししていきます。

学校と上手に連携をとって、お子さんを支えていきましょう。

このコラムを読んでわかること

  • 発達障害への「合理的配慮」の意味
  • 発達障害のことを担任の先生に伝える方法
  • 教育委員会から「通級」を利用する指示が来たときの考え方
  • 担任の先生が合わないときの対応
  • 発達障害の相談先

この記事を読むことで、直接的には配慮の依頼方法が分かるとともに、長期的にはお子さんと親御さんの「生きやすさ」にも繋がっていくと思います。

私たち、キズキは、発達障害や不登校のお子さんを、13年間で3,000名以上サポートしてまいりました。無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。少しでも気になるようでしたら、お気軽にご連絡ください

発達障害の子に対する「合理的配慮」とは?

発達障害の子に対する「合理的配慮」とは?

合理的配慮という言葉をよく聞きますが、どういった意味でしょうか?
学校における合理的配慮とは、「障害のある子どもが障害のない子どもと同じような教育を受けるために学校が必要に応じた変更や調整を行うこと」を言います。

ただし、「学校側に経済的、体制的に無理のない範囲での変更や調整」とされています。(参考:文部科学省「3.障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備」

2016年に施行された「障害者差別解消法」で、行政・企業・学校などに対して、障害のある方に可能な限り合理的配慮を行うことが求められるようになりました。

発達障害の特性があるお子さんも、合理的配慮の対象になります。

学校での合理的配慮には次のようなものがあります。(参考:内閣府※PDF「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)

合理的配慮の例

  • 読み書きに時間のかかる児童には、デジカメ、スマートフォン、タブレット型端末などで黒板を撮影できるようにする
  • 教員の話を聞いて想像することが難しい児童には、図・絵・実物などを見せて理解を促す
  • パニックを起こす可能性があるので、授業中に当てないでほしい。また、他の子どもにそのことを知られたくない
    →教員同士が情報共有し、指名しないようにする
  • 周囲の騒音が気になって気が散りやすい子には、仕切りを用意したり、静かな別室で課題に取り組めるようにする

どのような合理的配慮が考えられるか、まずは、担任の先生に相談してみましょう(相談方法は、次章で紹介します)。

その上で、具体的に、「あなたのお子さん」にどのような合理的配慮が必要かは、お子さんに関わる様々な人がチームとなって検討していく必要があります。

関わる人の例

  • 担任・校長など学校の先生
  • 教育コーディネーター
  • スクールカウンセラー
  • 医師
  • 公的なサポート団体・フリースクールなど民間のサポート団体

学校に合理的配慮を求める際には、医師の診断書や専門家の報告書が必要な場合もあります。

発達障害の特性があるお子さんは、授業、人間関係、学校生活など様々な面で困りごとを抱えています。色々な人とよく相談しましょう。

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担任の先生への発達障害と合理的配慮の伝え方

息子の発達障害と合理的配慮について、担任の先生にとはどのように伝えたり相談したりできるでしょうか?

ここからは、発達障害の担任の先生への伝え方をご紹介します。

ただし、親御さんだけで「何を、どのように相談するべきか」を考える必要はありませんし、難しいこともあるでしょう。

後で紹介する学校以外の相談先を、上手に並行的に利用することで、担任の先生への伝え方や伝える内容も具体的にわかっていくと思います。

これから何度か繰り返しますが、お子さんのことを、親御さんだけで抱え込まないようにしましょう(合理的配慮自体も、その一つです)。

伝え方①「学校に配慮してほしいこと」を明確にしておく

伝え方②「学校に配慮してほしいこと」を明確にしておく

具体的に「学校にどのような配慮を求めるのか」を決めておきましょう。

これは、発達特性は人それぞれで異なるため、具体的な依頼がないと、学校や担任の先生としても何をどう配慮したらよいのかわかりづらいためです。

また、「学校による配慮ではなく、家庭による配慮の方が適切なこと」もあります。

家庭での配慮が適切な例

  • 服のタグの感覚が気になって授業に集中できないので、服のタグを切っておく

学校による配慮が適切な例

  • ある科目の勉強をサポートしてもらいたい
  • 友だちの輪に入りづらいから、一人ぼっちでいないか気を配ってもらいたい

上記はわかりやすい例ですが、「何を家庭で、何を学校で配慮すべきか」は、親御さんではわかりづらいこともあります。

参考として、発達障害のお子さんが学校による配慮で過ごしやすくなった例を紹介する書籍に『発達障害のある子のサポートブック―保育・教育の現場から寄せられた学習困難・不適切行動へのすぐできる対応策2800』があります。

とは言え、この本の掲載例は数多く、親御さんだけで読んで理解するのは難しいかもしれません。

担任の先生、医師、サポート団体などと一緒に読むことで理解が深まると思います。

在籍している学校にスクールカウンセラーがいる場合は、そちらに相談することもオススメします。

伝え方②医師の診断書や報告書などを用意する

すでに発達障害の診断が出ている場合は、診断書を用意しましょう。

また、すでにサポート団体やカウンセラーなどを利用している場合には、「(お子さんの様子や特性が記された)報告書」などがあるかを確認しましょう。

(まだ)発達障害の診断が出ていないお子さんについては、これから医師やサポート団体に話をしてみましょう。

そうした資料を担任の先生に渡すことで、専門的・客観的な知見による「必要な配慮」が伝わりやすくなります。

伝え方③お子さんの家での様子や「できること」も伝える

伝え方②お子さんの家での様子や「できること」も伝える

お子さんの家での様子や、「できること」も伝えましょう。

家と学校での様子が違う子もたくさんいます。

家での様子がわかれば、担任も対応がしやすくなるでしょう。

伝える例

  • 家では一人で過ごしている
  • 妹と一対一なら楽しくおしゃべりできる
  • 着替えに苦労はしない
  • 順番を待つことはできる

担任の先生も、家での様子や「できること」がわかると、「じゃあ、〇〇の配慮が必要(不要)だな」といった判断をしやすくなります。

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伝え方④サポートブックを作成して渡す

担任の先生へ、お子さんの様子や配慮してほしいことなどをまとめた「サポートブックを作成して渡す」という方法もあります。

「サポートブック」とは

お子さんの発達特性に関連して、特徴・関わり方・支援方法・これまでに利用したサポート団体などのことを親御さんが記入する冊子のこと(他の名称で呼ばれることもあります)。

サポートブック作成のメリット

  • 相談の際に、伝えたいことの漏れがなくなる
  • シートを見ながら話せるので、相談がスムーズに進む
  • 相談の時間が足りなくても、担任の先生が後で読むことができる
  • 相談内容を、担任の先生が他の先生やスクールカウンセラーなどと共有しやすくなる
  • コピーすると、担任の先生以外にも同じ内容を簡単に渡せる

お子さんの発達障害を担任やスクールカウンセラーなど一部の先生以外に知らせたくない場合は、そのこともきちんと伝えましょう。

サポートブックは、都道府県や市区町村の窓口やウェブサイトで配布していますので、お住いの地域の福祉課に問い合わせてみましょう(民間企業のものもあります)。

お住まいの市区町村にもあるか、確認してみましょう。

ない場合も、他の市区町村の使えそうなものを利用したり、民間企業のものを利用したりすることができます。

伝え方⑤親側も担任に配慮をし、感謝も伝える

伝え方⑤親側も担任に配慮をし、感謝も伝える

担任の先生への配慮や感謝も忘れないようにしましょう。

配慮すべき理由の一つとして、「先生の多忙」があります。

先生は、仕事をたくさん抱えています。

もちろん、あなたのお子さんへの配慮も仕事なので、先生はしっかり対応する必要がありますし、親は配慮の相談・依頼を遠慮する必要はありません。

ただしその上で、現実的に、先生はとても忙しいということは認識しておきましょう。

これまでご紹介した伝え方も、「お子さん・親御さんのため」であると同時に、「先生のため」でもあるのです。

例えば、「サポートブックは、学校用の文章を書き慣れていない親が作成するよりも、親が伝えたことを先生がまとめた方がわかりやすい資料になるんじゃない?」と思ったかもしれませんね。

ですが、多忙な先生に「緊急の仕事」や「優先度の高い仕事」があると、後回しになる可能性は否定できません。

理由の二つめは、担任の先生は、発達障害に詳しくない可能性があるからです。

知識としては知っていても、「実際に個別のお子さんへの対応」の経験がないこともあるでしょう。

他のサポート団体も利用しながら、親にできることは親が行う(=担任の先生に配慮する)ことで、結果として、担任の先生がお子さんに使える時間や配慮は増えるのです。

そして、担任の先生に、お子さんへの対応や配慮への感謝を言葉で伝えることも大切です。

「仕事なんだから感謝なんて伝えなくてもいい」という考え方もあるかもしれませんが、一般的には、人間関係は感謝を伝えた方がうまくいきます。

発達障害のお子さんのサポートには、担任や学校の協力が欠かせません。担任の先生との関係を良好なものにして、お子さんを支えていきましょう。

伝え方⑥担任の先生が合わないときには別の人に相談する

残念ながら、全ての担任の先生が発達障害に理解があるとは限りません。

また、大変忙しい担任の先生が、あなたのお子さんのためにできることは限られているかもしれません。

何度も繰り返すとおり、担任の先生だけではなく、学校内外の医療機関・支援機関にも積極的に相談しましょう。

また、担任の先生がお子さんに協力的な場合でも、他の先生やスタッフのサポートは重要です(それぞれの専門的な知見からアドバイスをもらえます)。

学校内での相談相手の例

  • 担任以外の先生
  • 学年主任の先生
  • 校長先生・教頭先生
  • 養護教諭(保健室の先生)
  • スクールカウンセラー
  • 特別支援教育支援員
  • 教育コーディネーター

発達障害や支援機関については、スクールカウンセラー、養護教諭、教育コーディネーターの方が詳しい可能性があります。

また他の先生やスクールカウンセラーなどから、学校全体に働きかけてくれて、担任の先生の対応が変わる可能性があります。

スクールカウンセラーや養護教諭からは、学校外の医療機関・支援機関を紹介してもらうこともできます。

学校外の医療機関・支援機関は、次章で紹介します。

「通級」で授業を受けることが適している場合もあります

「通級」で授業を受けることが適している場合もあります

発達障害の診断がある場合、教育委員会の判断で、お子さんが「普通のクラス」ではなく「通級指導教室(通級)」での学習が適しているとアドバイスを受けることもあります。

通級指導教室(通級)とは?

障害(のグレーゾーン)の程度が軽い子どもが、通常学級に在籍したまま個別的な指導を受けられる学級のこと。普段は教室で他のクラスメイトと一緒に授業を受けながら、必要に応じて週1~2日、1~8時間程度、通級指導教室に移動した上で特性や困難に配慮した特別な指導を受けることができます。

例えば、音楽や体育は「普通のクラス」でみんなと受けるけれど、算数や国語は「通級」で勉強するといった感じです。

通級指導教室に通うことは、早期にソーシャルスキル(適切な対人関係能力)や適切な学習習慣を身につけ、子どもの能力を伸ばしたり、生活面を安定させたりすることに繋がります。

ただし親御さんは、教育委員会のアドバイスに「従うor従わない」の選択をすることができます。

教育委員会からアドバイスがあった場合、医師、カウンセラー、担任の先生などとよく相談して、お子さんに合った方法を選択しましょう。

「障害のある子のクラスに子どもを入れたくない」と思う親御さんもいらっしゃいます。

しかし、発達障害の特性があるお子さんにとって、みんなと同じ授業についていくのが難しい場合もあります。

小学生のうちに「通級」で特性に合わせた授業を受けて、発達障害の特性を軽減して中学校や高校に上がる方がいいお子さんもいます。

特性に合わせた授業で学べる方が、お子さんの自尊感情も傷つかないかもしれません。

お子さんのために、しっかり検討しましょう。

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学校外の発達障害の8つの相談先

学校外の発達障害相談先

学校外にも発達障害の相談ができる医療機関・支援機関はたくさんあります。

学校内での相談も進めつつ、医療・福祉・教育などの専門家にも相談することで、お子さんも親であるあなたも、きっと、より「生きやすく」なっていきます。

この章では、学校外の相談先をご紹介します(地域によって名称が異なる場合もあります)。

  • 相談先①医療機関・カウンセラー

小児精神科、児童に詳しいクリニック、かかりつけの小児科などがあります。かかりつけの病院があるなら、子どもの頃からの様子を知っているので、相談もしやすいでしょう。

カウンセリングはいろんな人が行っていますが、「臨床心理士」または「公認心理師」であれば一般的には信用できます。

クリニックなどの医療機関にこのような資格を持ったカウンセラーが在籍していることもあります。

  • 相談先②市区町村の子育て担当課・福祉担当課

お住まいの市区町村役所の子育て担当課・福祉担当課に相談することもできます。直接的な相談ができることもあれば、次項以降の「より専門的な機関」を紹介してもらえることもあります。

  • 相談先③発達障害支援センター

発達障害支援センターとは、各都道府県に設置されている、発達障害の大人と子供を支援する専門機関です。発達障害の相談をしたり、専門的な支援を受けたりすることができます。医師による診察を行っていたり、公認心理師によるカウンセリングを行っていたりする支援センターもあります。

  • 相談先④保健所・保健センター

保健所・保健センターでは、保健師に相談することができます。保健師とは、地域の健康相談を行う専門家です。直接的な相談ができることもあれば、地域の、他の支援機関、医療機関を紹介してくれることもあります。

  • 相談先⑤児童相談所

児童相談所は、各都道府県に設けられた児童福祉のための専門機関です。17歳までの子どもを対象としています。養護相談、保健相談だけでなく、発達障害など心の相談や子育て相談にも対応しています。なお、児童相談所の補助機関である「児童家庭支援センター」でも相談を受け付けています。

  • 相談先⑥教育センター・特別支援教育センター

各都道府県や政令指定都市等に設置されている教育機関です。教育に関する研究や、教員・子供・保護者を対象とした教育相談を行っています。教育の現場に長く携わった人が、学習、いじめ、発達障害などの心理的な問題などの相談に応えてくれます。必要に応じて心理師が相談に同席することもあります。

  • 相談先⑦発達障害の「親の会」

親の会とは、発達障害のお子さんを持つ親御さん同士が集まって、お互いの悩み相談、情報共有、専門家を招いての講習などを行っている団体の総称です。全国にたくさんあり、その目的や活動内容は団体ごとにそれぞれです。
お悩みに合いそうなところがあれば参加してみましょう。

  • 相談先⑧発達障害に理解のある教育団体

発達障害に理解のある家庭教師や学習塾もたくさんあります(私たち、キズキもその一つです)。
そうした家庭教師や学習塾では、特性に合わせた勉強方法で学べるとともにコミュニケーションや生活についてのアドバイスを受けられることが一般的です。

専門家とお子さん・親御さんの相性も重要です。一つの相談先が合わなくても心配せず、お子さんとご家族に合った専門家は必ず見つかりますので色々なところに相談してみましょう。

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まとめ〜発達障害のことを担任の先生に伝えて、配慮を得ましょう〜

まとめ
発達障害の特性があるお子さんは、合理的配慮を学校に依頼することができます。

伝え方を工夫して担任の先生へ配慮を依頼しましょう。

また、担任の先生以外にも、並行して学校内外の専門家や支援機関などに相談しましょう。

親と学校と様々な医療機関・支援機関がチームとなることで、お子さんも親御さんもより「生きやすく」なっていきます。

この記事が、お子さんと親であるあなたのお役に立ったなら幸いです。

さて、私たち、キズキは、発達障害や不登校のお子さんのための塾&家庭教師です。

13年間で3,000名以上、発達障害や不登校のお子さん・親御さんをサポートしてまいりました。

発達障害や不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。

少しでも気になる方は、お気軽にご連絡ください。

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