不登校からの大学受験に必要な3つの戦略と、5つの勉強方法〜不登校からの大学合格は可能です〜
不登校から大学受験を目指す人は少なくありません。この記事を読んでいるアナタも、そうなのではないでしょうか。
ただやはり、不登校の状態から大学受験に取り組むと、様々な不安が襲ってきがちです。
アナタも、次のような不安の中で勉強に取り組んでいませんか?
- 「どのように勉強を進めたらいいのかわからない?」
- 「本当に間に合うのか?」
今回は、そんな不安を少しでも軽減できるように、「不登校の人たちのための塾・家庭教師であるキズキ」が、不登校から大学受験に合格するための受験戦略を紹介します。
この記事を読むことで、不登校からの大学受験の成功が近づくはずです。
なお、この記事に書いている内容について、あなた一人で考え込んだり対策を行ったりする必要はありません。不登校の人の大学受験をサポートする人たちはたくさんいます。ぜひ、そうしたサポート団体を利用しながら、一緒に考えてみてください(私たちキズキでも無料相談を行っています)
目次
不登校からの大学受験:勉強戦略を立てよう
不登校かどうかにかかわらず、大学受験の勉強には、戦略を立てることが大切です。
なぜなら大学受験の一般入試は試験日が決められており、基本的にはチャンスが1年に1回だからです(※)。
そのため、闇雲に勉強をせずに、計画的に大学受験の勉強戦略を立てることが重要なのです。
しかし、勉強戦略といっても大掛かりなことをするわけではありません。これから一つ一つ紹介していきます。
※一般入試以外も含めると、「ある大学のある学部」を受験するチャンスが年に複数存在することもあります。ですが、「それぞれの受験のチャンス」が年に1回であることは同じです。
不登校の状態から大学受験を目指すあなたのための塾&家庭教師【キズキ】相談無料/関東・東海・関西(オンライン授業は全国対応)
詳しく見る不登校からの大学受験:勉強する前に必要な3つの戦略
まず、受験勉強を始める前に必要な戦略を3つほど紹介しておきます。
戦略①受験資格を知る
受験資格の確認は、受験勉強を始める前にしておく必要があります。
受験資格がない状態ですと、そもそも学力があっても試験を受けることができないからです。
受験資格には、主には次の2つがあります。
①高校卒業(見込み)
国に認可された高等学校(高校)を卒業した、または卒業の見込みがある時点で大学受験の資格が得られます。
②高卒認定試験の合格
不登校に関連して卒業が難しそうな場合には、高等学校卒業程度認定試験、通称「高認」(旧称大検)に合格することで大学受験資格を得られます。高卒認定試験について詳しくは、コラム「高卒認定試験とは?受験資格や年齢、メリットを分かりやすく解説」をご覧ください。
戦略②志望校を選ぶ
次に決めることは、志望校です。
なぜ志望校を選ぶ必要があるのか?
それは「志望校が決まれば、何を勉強するかが決まる」からです(=「大学ごとに、受験に必要な科目や出題傾向が異なる」からです)。
なお、同じ一つの大学でも、学部・学科によって、受験科目や配点が変わります。
ですので、「○○大学に行きたい!」だけではなく、「文学部なのか?」「工学部なのか?」「国際学部なのか?」といった学部・学科まで明確にすることをおすすめします。
(ただし現実的には、複数の大学や学部を目指す、途中で志望校が変わる、なかなか志望校が決まらないこともあり得ます。「志望校が決まらないと受験勉強は開始できない!」というわけでもありませんので、ある程度は柔軟に対応しましょう)
戦略③体調管理を行う
体調管理を行うのは、実は最重要事項です。
なぜなら「受験は、本番の出来で結果が左右されるから」です。
どれだけ準備をしても、体調がよくなくて本番で力を出せないと、勉強をがんばってきた成果が活かせません。
睡眠、食事、運動(軽くジョギングでも大丈夫)を気にかけて、体調を管理しましょう。本番に近づくにつれて、体調に無理のないようにすることが大切です。
不登校からの大学受験:勉強の戦略の前提〜目標と現状のギャップを知る〜
では、ここから具体的に勉強の戦略について話をしていきます。
まず何をするのか。結論は「目標と現状のギャップを知っておくこと」が1歩目となります。
その主な理由は、大学受験の勉強とは「大学受験本番に向けて、いかに合格点に近づくかが重要だから」です。
そして、よく陥りがちな注意点に、「目標とのギャップが大きすぎて、勉強のやる気を失うことがあること」があります。
実際に、小学生の輪投げの研究でも、自身の目標達成率が50%ほどだとモチベーションが一番高まるという研究結果も報告されています。(出典:Education Encyclopedia「Motivation」)
(最初から)高い目標を設定することが必ずしもよいとは限らないのです。
そのため、過去問を解いたり出題形式を確認をするなどをして一度、自分の現状を把握をしておくことが必要です。
ここまで準備ができたら、いよいよ勉強の内容に入っていきます。そこでどのように勉強をするかを次の章では紹介致します。
不登校からの大学受験に向けた、5つの勉強方法
勉強方法について、不登校の期間のメリットに、「学校に通う人たちと比べて選択肢がたくさんある」があります。他の人が学校に行って受験に関係のない勉強などをしている時間に、受験勉強に専念できるのです。
つまりチャンスが多い状態と言えます。しかし、だからといって無理をする必要はありません。下記の情報を参考に、自分に合った勉強方法を見つけてくださいね。
方法①塾を利用する
近年では、「不登校 塾」というインターネット検索を行うと、不登校の人に対応したカリキュラムや指導内容を展開している塾が見つかります(私たちキズキもその一つです)。
塾を利用するメリットは、勉強のことだけではなく悩み相談や進路相談など親御さんや学校に言いづらい相談できる点です。
デメリット(注意点)は、通塾をする必要があることです。外出を避けたいと考えていたり、近くに塾がない人は、なかなかアクセスしにくい点があります。
しかし、近年は「オンライン通信」が発展しているため、直接通塾をせず自宅で受講するスタイルもあります。
方法②オンライン教材を利用する
オンラインで勉強を教えているサイトや動画もたくさんあります。
代表例に、「スタディサプリ」があります(比較的安価で利用できます)。また、無料で見られるYouTube動画もあります。
YouTube動画は、一般的には、塾や予備校が運営しているチャンネルなら信用できると思います。
私たちも、「不登校・中退の方のゼロからの学び直しTV」を運営しています。
メリットとしては、リアル授業とは異なり、わからない部分を何度も繰り返して見たり、早送りやスローモーションで見たりすることができる点があります。
デメリットとしては、双方向かつリアルタイムのやり取りがしづらいこと(わからないところにすぐに質問してすぐに回答を得るのが難しいなど)があります。
方法③通信制高校に通う(転校する)
通信制高校とは、学校から配布される教科書や動画などの教材を用いて行う、自宅学習がメインの高校です。
「通信制高校では『毎日の登校』が不要なので、『不登校』もない」というのが特徴になります。中高で不登校を経験した人たちの受け入れも積極的に行っています。
そのため、最大のメリットは「自分のペースで学習できる」ということでしょう。
しかしデメリット(注意点)としては、他の人と関わりがないため孤独感を感じるという点があります。
また、通信制高校のカリキュラムをこなすだけでは大学受験に必要なレベルの知識には足りなかったり、高校による大学受験のサポートが手薄だったりすることがよくあります。
通信制高校では高卒資格の取得を目指しつつ、受験勉強は塾やサポート校(通信制高校と提携した塾のようなもの)を利用する、という方法がよいかもしれません。
詳しくは、コラム「通信制高校からの大学進学は不利? 実際の進学率と対策・オススメ高校を解説」をご覧ください。
方法④フリースクールを利用する
フリースクールとは、一般に、不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設を言います。
文部科学省の2015年の調査によると、全国で474か所存在します。公的な教育機関ではなく、それぞれのスクールによって特徴が違います。(参考:文部科学省「フリースクール・不登校に対する取組」)
メリットとしては、学校や家庭にない「居場所」ができる点があります。
デメリット(注意点)は、公的な「学校」ではないためにフリースクールに通っても高校卒業資格は取得できないこと、大学受験に必要な勉強の指導を受けられるかできるかどうかはスクールによって異なることが挙げられます。
「勉強は塾などで行いつつ、人との交流はフリースクールで行う」といったことも可能です。
方法⑤図書館で自習する
図書館で自習するメリットは、やはり自分のペースで勉強できるという点がなによりも大きい点です。
また家を出ることになるため、勉強に対してのオンオフ・メリハリができる点もあります。
デメリットは、通信制高校と同様に、他の人と関わりがないため孤独感を感じるという点があります。また、わからない問題や自分で解決できない問題が出てくると、勉強が進まなくなる可能性があります。
前項までと同じく、「自習」は図書館で行いつつ、塾なども併用する方法がよいかもしれません。
不登校からの大学受験:一般入試以外の選択肢もある
学力がどうしても不安・自信がないという方には、一般入試以外の選択肢の一つとして総合型選抜もあります。よく誤解されるのですが、高校を不登校でも(中退していても)、総合型選抜の利用は可能です。
総合型選抜(旧:AO入試)とは、大学・短大・学部が定める「求める学生像」に合った人物を採用する方式です。
総合型選抜を行っている大学は多く、現在では私立大学の8割以上が実施しています。(参考:文部科学省「平成31年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要)
総合型選抜では、次のような内容で審査が行われます。
総合型選抜の審査内容
- 事前提出の書類
- 面接
- 論文
- プレゼンテーション
- (学力試験がある学校もあります)
志望をしたその大学に入りたい理由が明確で何をしたいのかが言えるよう、下調べや準備をしておく必要があります。
出席日数が足りないことがデメリットになる可能性もありますが、逆に、「不登校(や中退)から学んだこと」を、志望動機と絡めてポジティブに伝えれば有利になることもあります。
「勉強が苦手な状態で大学に入学すると、大学の授業についていけないのでは?」と不安かもしれませんね。ですが一般的に、総合型選抜の合否は、一般入試よりも早く決定します(一般入試は2月ごろ、総合型選抜は11月ごろからです)。
早く合格が決まれば、そこから入学までの間に、大学入学後に備えた勉強を行うことが可能です。また、早めに大学に足を運んだりして、環境に慣れることもしやすいです。
まとめ 〜自分にあった方法を選択する〜
受験戦略を立てることで不登校でも合格に近づけます。ここまで「不登校から大学受験に合格するための戦略」ついて、詳しく解説してきました。
もう一度おさらいをしておきますと、大学受験のゴールは「試験日に合格点に到達すること」です。
このゴールに向かって志望校を選択し、アナタにあった方法で勉強を進めていくことが不登校から大学受験に合格する道のりとなります。
また不登校の状態では情報不足で勉強に不安になりやすいかもしれません。一人で抱え込まず、頼れるものは頼っておくことがポイントになります。
もし勉強に不安やお悩みがある場合は、選択肢の一つとして、お気軽に私たちキズキまでお問い合わせください。
監修:安田祐輔
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
【新著紹介】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【著書など(一部)】
『暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』)
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
共同監修:半村進
はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。