発達障害で勉強についていけない子どもが勉強の遅れを取り戻す11の方法
対応はたくさんありますので、まずはご安心ください。
このコラムでわかること
- 発達障害とは何か
- 勉強についていけない発達障害の子どものサポート方法
- 勉強についていけない発達障害の子どもへの親・保護者の接し方
- 子どもの発達障害について相談できる支援機関
大切な心構えは、「お子さんのことを親だけ(ご家庭だけ)で対応しようとせずに、学校・医療機関・サポート団体と話をすること」です。
勉強に限らず、コミュニケーションや生活についても、周りのサポートを得ることで、親御さんもお子さんも、体力や気持ちの余裕を保ちながら困りごとに対応していくことができます。
「サポートする人たちはたくさんいる」と安心していただいた上で、記事をお読みください。
なお、このコラムは、キズキの知見とともに、全体的に以下2冊の書籍を参考にしています。
『発達障害の子どもたちをサポートする本』 榊原洋一 ナツメ社
『子どもの発達障害と支援のしかたがわかる本』 西永堅 日本実業出版社
私たち、キズキは、発達障害や不登校のお子さんを、13年間で3,000名以上サポートしてまいりました。発達障害や不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。少しでも気になるようでしたら、お気軽にご連絡ください。
目次
発達障害の概要
少し長いので、すでにご存知の方は次章「発達障害の3つのグループと、グループごとの勉強面でのお困りごと」まで進んで大丈夫です。
①発達障害とは、生まれつきの、脳の機能の偏りのこと
発達障害とは、脳の機能に偏りがある状態を意味します。
運動機能と同じように脳の中(心の機能)にもいろいろな機能があります。
脳の機能(心の機能)のバランスが悪い(ばらつきがある)ものが「発達障害」と呼ばれるものです。
もちろん、誰の脳の機能(心の機能)にも多少のバランスの悪さがあるものしょう。
その上で、ばらつきが非常に大きくて、学校や社会生活に困難を生じるものを「発達障害」と言うのです。
そして、その偏り(発達障害)は、生まれつきのものであり、しつけや育て方とは関係ありません。
②「発達障害=勉強についていけない」ではない
発達障害のお子さんの中には、非常に知能が高く、大人になって高学歴や知的職業に就いている人もたくさんいらっしゃいます。
つまり、「発達障害=勉強についていけない」わけではないのです(ただし、発達障害と知的障害の線引きは難しいケースもあり、また、知的障害を伴う発達障害もあります)。
その上で、知能とは別に、発達障害の特性のために勉強についていけなくなることも、よくあることです。
脳機能の障害である発達障害は、「実行機能の障害」とも言われています。
「実行機能」とは、何かを実行するために必要な機能のことです。
例えば、「宿題があることを覚えておく」「遊びに行きたいのを我慢する」というようなことをやり遂げる機能です。
発達障害の子どもは、「実行機能」の障害から、その場に適した行動がとれないと考えられています。
勉強面でも「実行機能」の困難が現れる場面は多くあります。
困難の例
- 先生の話を最後まで聞き、指示に従うことができない
- ひらがな、カタカナ、漢字を読むことが苦手。文章を書くことが苦手
- 相手の気持ちになったり、未来を予測したりという推論ができない
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詳しく見る発達障害の3つのグループと、グループごとの勉強面でのお困りごと
その中でも代表的な3グループ「注意欠如・多動症(ADHD)」「限局性学習障害(SLD)」「自閉症スペクトラム症(ASD)」について、概要、行動特性、勉強面での困り事(勉強についていけない事例)の例をご紹介します。
この章も、すでにご存知の方は、次章「発達障害で勉強についていけない子のための、11のサポート法」まで進んで問題ありません。
①注意欠如・多動症【ADHD】
ADHDとは、自分自身をうまく制御することができない発達障害です。
ADHDの主な特徴
- 不注意の傾向
- 多動性の傾向
- 衝動性の傾向
よく見られる行動特性の一例
- 忘れっぽい(忘れ物や記入漏れのミスなども多い)
- 集中力が続かない(気が散りやすい)
- 感情のブレーキがきかない
- 待つことが苦手
授業中に集中できない、忘れ物が多いなどの理由で、学習進度が遅れたり、いい成績が取れなかったりします。また、そのことで叱責されたり笑われたりしやすく、自信が持てなくなります。
②限局性学習障害【SLD】
SLDとは、全般的な知的発達に遅れはないのに、「聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する」の能力のうち、特定のものの習得と使用が難しい障害です。
SLDの8割が「ディスレクシア」を抱えていると言われ、障害の中核にあるのは「ディスレクシア」だと言われています。
ディスレクシアとは
- 知的な遅れがないにも関わらず、読み書き能力に著しい困難を生じる障害のこと。よく知られているものに鏡文字(文字を左右対象に書く特徴)があります。
よく見られる行動特性の一例
- 文字を正しく書けない
- 計算が苦手
- 音読、黙読が不得意
学習障害では、苦手な分野のかたよりは一人ひとり異なっています。
「算数は得意だけど国語は苦手」といった教科ごとの得手不得手だけでなく、「算数の中でも図形は得意だけど計算は苦手」というようにタイプは子どもそれぞれです。
特定の勉強分野が極端に苦手なので、成績にアンバランスが生じます。
大人から「計算だけできないのは怠けているからだ」と誤解も受けやすく、叱責されて、学習意欲を失ったり自信を失ったりする場合もあります。
③自閉スペクトラム症【ASD】
ASDとは「社会性の困難」が中心の発達障害です。
ASDの主な特徴
- 社会性やコミュニケーションに障害がある
- こだわりが強く、興味や関心の幅が狭い
- 感覚・知覚過敏があることもある(体を触られるのを嫌がる、味覚が偏って給食が食べられない、砂の感触が嫌で砂遊びができないなど)
よく見られる行動特性の一例
- 人の気持ちや表情が読めない
- 興味の幅が狭い
- パターン化されたされたものを好む
- 感覚過敏や感覚鈍麻がある
- TPOに合わせた行動が難しい
- 言葉の意図や暗黙の了解などが理解しづらい
言葉の遅れや知的障害がない場合、特に困難を抱えず、社会に出るまで見過ごされることも少なくありません。
知能の高い自閉症スペクトラムの子どもは、学習面と言うよりも、いじめや人間関係が作れないなど社会性の困難を抱えやすいと言えます。
「非常に高い記憶力があり、知識が豊富で語彙数も多く、言語性の知能指数が標準より高い」という人もいます。
④発達障害の特性の現れ方は、人それぞれ
発達障害の特性がどのように現れるかは、人によって大きく異なります。
発達障害のお子さんの「勉強についていけない」を解決するためには、その子の特性(得意・苦手)を知り、理解した上でサポートしていく必要があります。
その際、「どのように対応したらいいのかわからない」「これは発達障害の特性なのだろうか、性格なのだろうか」と悩まれる親御さんも多くいらっしゃいます。
勉強に限らず、お子さんのことを親だけ(家庭だけ)で抱え込まないようにしましょう。
後で紹介するように、相談先はたくさんあります。
知識や経験を持つ専門家・支援者に相談することによって、お子さんにより合った学方法や接し方を見つけ、サポートしていくことができるようになるはずです。
発達障害で勉強についていけない子のための、11のサポート法
ただし、親御さんは発達障害や勉強の専門家ではありませんし、お子さんのことを親だけ・家庭だけで抱え込む必要もありません。
お子さん(の勉強)のことは、親だけ・家庭だけで抱え込まず、詳しい人や専門家を適切に頼ることが大前提です。
方法①〜③は、そうした「専門家」の紹介でもあります(後で、他の専門家も紹介します)。
それらと話をすることで、方法④以下で紹介する内容についても、お子さんにより合った実施法や、他の方法なども一緒に考えていけると思います。
(参考:鴻月美里『どうして僕は勉強ができないの?発達障害児のための学習支援』)
方法①塾・家庭教師を利用する
塾・家庭教師は現在、非常に多くの種類があり、発達障害に理解のあるところも増えてきました(私たち、キズキもその一つです)。
特に発達障害のお子さんの場合は、次のようなところを利用することで、「勉強についていけない」という状況はグッと変わっていくはずです。
- 家庭教師または1対1の完全個別指導塾
- 発達障害の特性に理解が深い
- 必要に応じて、生活改善や悩みの相談、コミュニケーションの練習もできる
これは、発達障害は一人ひとりで特性の現れ方が異なるからです。
上記の特徴を押さえた家庭教師や塾であれば、「お子さん本人の特性(得意・苦手)」や「お子さん本人の学習段階やペース」などへの配慮がある可能性が高いです。
「発達障害 家庭教師(塾)」などとインターネットで検索するといくつか候補が見つかると思いますので、気になるところに問い合わせてみることをオススメします(キズキでも、無料相談を受け付けています)。
方法②特別支援学級や通級指導教室を利用する
医師による発達障害の診断を受けた場合、都道府県の教育委員会がその子の障害の程度に応じて、特別支援学級や通級指導教室など特別な学校(クラス)に通うように連絡することがあります。
特別支援学級や通級指導教室とは、通常のクラスの授業についていけない子供に、障害に応じた教育をする学校(クラス)です。
「特別支援学級」は、通常学級と異なり1クラスの上限が8名であるため、通常学級よりも手厚いサポートが期待できます。
特別支援教育の経験豊富な先生や子どもたちのサポートに積極的な先生がいれば、先生と情報を共有して連携を取りながらお子さんをサポートしていくことができます。
お子さんの障害の程度によっては、通常のクラスで勉強するよりも、そこでの授業を受けることが適している場合もあります。
なお、教育委員会から「通級に通ってください」と言われた場合でも、保護者には拒否する権利があります。
方法③課後等デイサービスを利用する
一部の放課後等デイサービスでも、特性に応じた勉強を受けることができます。
放課後等デイサービスとは
- 民間の事業者が運営する、6〜18才のなんらかの障害や困りごとのある子どもが、放課後や学校が休みの日に、生活能力、各種技能、社会性などを身につけるために通う場のこと
放課後等デイサービスは、事業所によって様々なサービスを行っています。
工作、運動、調理、裁縫、屋外活動などに力を入れているところや、スポーツ、絵画、ダンスなど、専門的な分野に力を入れているところもあります。
学習指導を中心に行う放課後等デイサービスもあり、発達障害の特性を理解した指導者から勉強を教わることができる場として機能しています。
放課後等デイサービスは、通う場所を1か所に絞る必要はないので、子どもの体力や気持ちの安定とも相談しながら、お気に入りの場所をいくつか組み合わせることも可能です。
月間で通える回数は自治体との協議によって決まるので、医療機関・支援機関の人と相談しつつ、決めていくことをオススメします。
方法④学校に合理的配慮を求める
「学校に勉強のための合理的配慮を求めること」も効果的です。
発達障害のサポートについて、2016年に「発達障害者支援法」が改正されました。
この改正によって、「個別の教育支援計画の作成及び個別の指導に関する計画の作成の推進」という文言が追加されました。
発達障害の子どもも通常学級で学ぶことができるよう、学校側がその子に個別の指導計画を立てて対応することが推奨されたのです。
文言としては「義務」ではなく「推進」ではありますが、担任の先生や学校が発達障害の子どもの学習サポートに積極的であれば、ぜひ一度相談されるとよいでしょう。
しかし、学校の先生は発達障害支援の専門家ではないので、うまくサポートの計画を立てられてない学校があることも事実です。
そういった場合には、前項までの方法をオススメします。
方法⑤生活リズムを整える
ここからは、ご家庭でできる方法です(とは言え、「実施の仕方」「具体的な内容」などは、いろんな専門家とも話をしつつ試していきましょう)。
特に学校に行って勉強するためには、生活リズムが整っていなくてはいけません。
発達障害の特性として睡眠障害になりやすい子もいて、生活リズムが乱れることもよくあります。
お子さんの生活リズムを整えることで学校に行きやすくなり、結果として授業を受けて勉強を理解することにも役立ちます。
具体的には、次のような方法があります。
- 食事や就寝の時間を決める
- スマホ・テレビ・ゲームなどの時間を決めておく(発達障害の子はのめりこみやすく、ゲームなどをいつまでも続ける場合があるため)
- 夜になかなか眠れない子には、日中は外で遊びや運動をさせる
- 睡眠前に「睡眠前の儀式」を行う(例:小学校中学年までは本の読み聞かせを行う、高学年以上だと一緒に読書をする、一緒にパズルを解くなど)
方法⑥整理整頓をする
特にADHDの子どもは、忘れっぽさや移り気のために片付けられないといった状況が起こります。
部屋が散らかっていると勉強に集中できず、宿題や持ち物を忘れる原因にもなります。
逆に言うと、整理整頓した部屋であれば、勉強に取り組みやすくなります。
特に机の上が散らかっていると勉強面に影響しやすいので、親がサポートしながら整理整頓していきましょう。
具体的には、次のような方法があります。
- 棚・タンス・箱に、「下着」「文房具」などと、しまうものを書いておく
- 親子で片付けの時間を決める、親が定期的に片づけを促す
- 「今日は机の上」「明日は掃除機をかける」など、少しずつ片付けをする
- 片付けの意欲を奪わないように、片付ける場所は細分化しない
- 片付いた状態を写真に撮って、「見本」を作っておく
方法⑦集中して勉強に取り組める環境をつくる
特にADHDでは、集中力の不足が勉強の困難につながります。
家庭では、集中して宿題などに取り組める環境を作ることが大切です。
具体的には、次のような方法があります。
- テレビなどの雑音を消す。きょうだいは、別室に移動させる
- 机の上は綺麗に片付ける
- 課題を小分けし、「20分勉強したら休憩」など、小休止を入れる
- 課題が難しくて解けないと集中力が切れることもあるので、難しい問題は部分的に親が手伝う
- 得意な教科から始めることで、他の教科にも取り組みやすくなる
- 集中できないことを責めたり、叱ったりしない
方法⑧課題や宿題を実施・提出しやすくする
課題や宿題の実施は、記憶の定着に役立ちます。
また、実施した課題・宿題の提出は、成績に影響するでしょう。
しかし、発達障害のお子さんは、課題・宿題の実施と提出に難があることが珍しくありません。
宿題や課題を提出できない原因(背景)は様々です。
原因の例
- 宿題は実施したのに、提出を忘れる
- その日の宿題を覚えられない
- 宿題が難しすぎる
- 宿題の量が多い
次のような方法で、宿題・課題の実施・提出を行いやすくなります。
注:特にハイライトがついたものは、一般的に取り組みやすいと思われ、また、事例として聞くことが多いものです
- 難易度や量が子どもの能力に合っていない場合、先生に相談してレベルや量を調節してもらう
- (先生に相談して)宿題は朝一番に提出する習慣づけをする
- その日出された宿題を、ゴムで束ねて持ち帰る
- (先生から保護者に)その日出た宿題の声掛けをしてもらう
- 手帳を2冊用意して、1冊目で宿題や提出物をチェックした後、必ず2冊目でもダブルチェックを行う習慣をつける
- 居間などに宿題や提出日を書くホワイトボードを用意する
方法⑨覚えたことを定着させる
発達障害の特性として記憶力が弱いと、一度覚えたことをすぐに忘れたり記憶が定着しなかったりすることがあります。
学校ではたくさんの授業を受けるので、記憶できないまま勉強についていけないようになるのです。
そのような場合、以下のような対策が有効です。
注:特にハイライトがついたものは、一般的に取り組みやすいと思われ、また、事例として聞くことが多いものです
- 優先順位をつけて覚える
- 図や写真など視覚で覚える
- 一度にたくさん覚えるのではなく、回数をわけて少しずつ覚える
- 小テストなどで覚えたことを確認する。忘れていた知識は、その場ですぐ確認して覚える
- 忘れたときにすぐに確認できる参考書(漢字表、英単語帳、文法書など)などを手元に置いておく
- 宿題の締め切り日、テストの日にちなどは居間にホワイトボードを置いて書いておく
方法⑩子どもに合った勉強法を知る
これまで、発達障害の特性別に勉強法をお伝えしてきましたが、お子さん一人ひとりで、勉強への困難は異なります。
それを踏まえた上で、ご紹介してきたもの以外の、発達障害の特性のお子さんに有効と思われる代表的な勉強サポート法をいくつかご紹介します。
注:特にハイライトがついたものは、一般的に取り組みやすいと思われ、また、事例として聞くことが多いものです
- 最初から長い文章を読むのではなく、短い文章を読んで理解する練習をする
- 数字や記号を大きく印字したものを使う
- 文章題の内容を図にして説明する
- 文字をひとつひとつのパーツに分けて構造を理解させる
- 文字のなぞり書きをさせる
- 文章の黙読をするときに、CDなどの朗読を聞かせる
- あらかじめ、あらすじを教えてから文章を読む
- 計算スペースを大きめにとる
- 模範的な文章(新聞のコラムなど)を書き写す
- 目盛りやブロックを使って、重さや数の概念の説明をする
方法⑪親が発達障害について知る
親が発達障害についての知識を深めることも、お子さんの「勉強についていけない」を解決するために役立ちます。
書店に行けば、発達障害に関する書籍はたくさん売っています。具体的な対処法や相談先について書かれたものも豊富です(ただし、科学的根拠の薄い書籍も混在しているので、著者の経歴や肩書を見てから購入しましょう)。
スクールカウンセラーなどに相談しているのであれば、カウンセラーから知識を得たり、オススメの書籍を教えてもらったりするのも効果的です。
ぜひ、このコラムでご紹介した本も手に取ってみてください。
そして、知った知識を、家族(父親、祖父母、きょうだいなど)とも共有してください。
発達障害の子どもへの親の関わり方〜できたことに注目し、肯定的な声かけをする〜
発達障害の子どもは、学校や普段の生活の中で、叱られたり注意されたりする経験が多いことから、自己肯定感が低くなりがちです(「勉強についていけないこと」も、そうした経験の一つです)。
低い自己肯定感は、「自分はやればできるはずだ」という気持ちを奪い、「どうせ自分にはできない」という気持ちを大きくします。
ですので、「やればできるはず」と思える自己肯定感を守り育てていくためにも、「できないことを叱る」よりも「できたことを認める、ほめる」ことが大切になります。
子どもが安心感を持って何かに取り組むことができる環境をつくるために、「できたことに注目し、肯定的な声かけをする」ということが大切です。
「できたこと」とは、「新しくできたこと」だけではなく「毎日できていること」「してはいけないことをしなかったこと」も含まれます。
そして、ほめるときはシンプルに、ほめ言葉だけを伝えましょう。
「えらかったね」「できたね、すごい」というシンプルなほめ言葉を、できたことに対して使うことで、子どもは「何がほめられたのか」を把握しやすくなり、その経験が自己肯定感をはぐくむことにつながります。
子どもの発達障害を相談できる支援機関
発達障害のお子さんをお持ちの親御さんの中には、誰にも相談できず、自分だけ(家庭だけ)で悩みを抱え込む方も少なくありません。
ですが、現在は「発達障害について相談できる機関」は、たくさんあります。
発達障害の専門家に相談いただくことで、お子さんの特性や言動の理由が少しずつわかってくると思います。
相談できる内容は「勉強についていけないこと」だけではなく、他にも様々なことを話せます。
また、支援者に悩みを共有していただくことで、親御さんにとっても安心できる環境を整えていくことができるはずです。
以下に、「発達障害について相談できる相談先」をまとめていますので、ぜひあなたの悩みに対応している相談先につながってみてください。
①前提
相談先がたくさんあって迷う場合は、次の2つを第一の候補とすることをオススメします。
相談先の候補
- お子さんの在籍する学校(担任・スクールカウンセラーなど)
- 市区町村の子育てまたは障害福祉の担当部署(該当部署名は、総合窓口で確認可能)
- それぞれの相談機関では、具体的な相談ができることもあれば、「より適切な相談先」を紹介されることもあります
- 機関名は、地域によって異なることもあります
- それぞれの組織で可能な支援内容や必要書類などは異なるため、対応内容を電話などで事前に問い合わせることをオススメします
②代表的な相談機関
勉強に関する相談先
- 発達障害に対応した学習塾・家庭教師など(私たち、キズキもその一つです)
- 一部のフリースクール
- 一部の放課後等デイサービス
- 学校(次項ご覧ください)
学校関係の相談先
- 担任の先生
- スクールカウンセラー
- 特別支援教育コーディネーター
- 特別支援教育支援員
- スクールソーシャルワーカー
- 教育センター(教育相談室)
- 教育委員会(進学相談)
総合的な相談・支援
- 療育センター
- 発達障害者支援センター
- 発達支援センター
- 地域生活センター
健康、発達に関する支援
- 小児科
- 児童精神科の専門医
- 小児神経科の専門医
- 保健センター
療育に関する支援
- 保健福祉センター
- 療育機関
子育て、家族に関する支援
- 児童相談所
- 発達障害の「親の会」
- 福祉事務所
- 発達障害の相談などを行うNPOなど
生活に関する支援
- 放課後等デイサービス
③相談にあたっての準備
いざ「相談をしよう」と思っても、何を話せばいいのかわからない…という方もいらっしゃいます。
相談にあたっては、事前に次のことを準備しておくと便利です。
準備
- 母子手帳
- 診断歴
- 相談内容(困りごとや悩んでいることのメモ、など)
- 希望すること(相談先の組織に頼みたいこと、頼めるか確認したいことなど)
「相談内容」と「希望すること」については、思いつくものを紙やスマホなどにメモしておきましょう。
メモを見ながらご相談することで、相談もれがなくなり、相談の時間がより具体的で意義のあるものになるはずです。
まとめ
発達障害で勉強についていけないお子さんについて、親にできるサポートや相談機関などをご紹介しました。
お子さんの発達障害や勉強については、親だけ(ご家庭だけ)で悩まず、医療機関や支援機関を利用して、お子さんへのよりよい接し方を一緒に考えていただきたいと思います。
そうすることできっと、勉強はもちろん、その他の困りごとへの対処も見つけていくことができます。
この記事が、お子さんと親御さんの生きやすさに繋がったなら幸いです。
さて、私たち、キズキは、発達障害や不登校のお子さんのための家庭教師です。
13年間で3,000名以上、発達障害や不登校のお子さん・親御さんをサポートしてまいりました。
発達障害や不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。
少しでも気になる方は、お気軽にご連絡ください。
監修:安田祐輔
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
【新著紹介】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【著書など(一部)】
『暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』)
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
共同監修:半村進
はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。