小学生の不登校はどこに相談する?4つの相談先・相談するメリット
昔に比べると、不登校の相談ができるところは大きく増えました。
しかし、相談先が増えたことで「相談窓口や支援団体が多くてわかりづらい」という声もお聞きするようになりました。
この記事では、小学生の不登校の子どものことを相談できる窓口や支援団体を、整理してわかりやすく紹介します。
お子さんのことを親だけ(ご家庭だけ)で抱えずに、相談機関やサポート団体を利用することは、とても大切です。
この記事でわかること
- 小学生の不登校を相談するメリット
- 小学生の不登校の相談先
- 最初に頼るべき相談先
- 相談をするときの注意点
小学生の不登校のお子さんの相談先でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
私たち、キズキは、不登校のお子さんを、13年間で3,000名以上サポートしてまいりました。不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。少しでも気になるようでしたら、お気軽にご連絡ください。
目次
小学生の不登校の定義
公的な定義を知ることで、公的な資料や支援団体などが使う「不登校」の意味がわかるようになります。
既にご存知の方や興味がない方は、次章「小学生の不登校を相談するメリット5点」まで進んでいただいて大丈夫です。
①不登校の定義
何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いた者
この定義では、次のような子供は不登校には当てはまりません。
公的な不登校に当てはまらない例
- 年間の欠席が29日以下の人
- 病気が原因で学校に行けない人
②不登校の定義から外れても相談できます
後で紹介する専門機関や民間のサポート団体の多くは、公的な定義から外れていても、無料相談を受け付けています。
ポイント
- 欠席日数に関わらず、「学校が苦手なお子さん」は、相談機関やサポート団体に話をしてみましょう。
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詳しく見る小学生の不登校を相談する5つのメリット
この章では、相談のメリットを5つ紹介します。
メリット①専門家の意見を聞ける
親子間(や親戚、親同士など)での間で話し合いでも、意見が出たり、気持ちが軽くなったりすることはあるでしょう。
ただし、そうした人たちは、「小学生の不登校の、専門的な知識」を持っていません。
相談機関やサポート団体には、お子さんの心理状態、これまでの事例、効果的な対応などの専門的な知識やノウハウがあります。
つまり、親子間だけでは思いつかなかった「解決策」などが見つかりやすくなるのです。
メリット②不登校の「次のステップ」を提案してもらえる
不登校の小学生のお子さんは(親御さんも)、心身が元気であっても、「不登校の『次』に、何をどうすればいいのかわからない」と悩むことが少なくありません。
専門家に相談することで、子どもの状態に合わせた、「次のステップ」が見えてきます。
・遅刻や早退を認めながら、教室に登校する
・週に何日かだけ、教室に登校する
・保健室登校(別室登校)をする(その後、徐々に教室にも通う)
・適応指導教室に通う(次章で詳しく解説)
・家庭教師や学習塾などを利用する
・転校などを検討する
「次のステップ」を提示するときのタイミングも重要なので、そういった点までアドバイスをもらえるのは心強いです。
メリット③親御さん自身の不安解消につながる
親御さんは、次のような自責の念に駆られて、ストレスを抱え込むことも珍しくありません。
「子どもが不登校になったのは、私の責任かもしれない」
「小学生の不登校は、親に原因があるという話を耳にした」
サポート団体などに相談すると、こうした親御さんの不安も解消していきます。
お子さんのことを、親だけ(ご家庭だけ)で抱え込まないことが大切です。
なお、一部の例外を除いて、不登校の直接的な原因は親ではありません(例外とは、児童虐待などのことです)。
メリット④相談先が子どもの「居場所」「話し相手」にもなる
具体的には、以下のような相談・サポート団体です(詳細は後で紹介します)。
- 教育支援センター(適応指導教室)
- フリースクール
- 家庭教師
- 学習塾
これらは、不登校の小学生にとって、「学校に行く代わりに過ごす場所や時間」になりえます。
さらに、勉強面や生活面など、直接的なサポートを受けられることも多いでしょう。
また、「居場所」としての機能はない相談先でも、不登校の小学生にとっては、家族以外の話し相手(家族以外の人コミュニケーションを取る機会)はとても大切です。
メリット⑤(医療機関の場合)必要な検査を受けられる
具体的には、発達障害の検査を受けるという選択肢が考えられます。
先天的な脳の機能の偏りによる特性のこと。ADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、LD(学習障害)などの種類があります。特性は、コミュニケーション方法や勉強方法の向き不向きにも影響します。
発達障害が不登校につながる例
- 特性に合わない勉強方法を続けて成績が上がらず、あるときの学校でのテストをきっかけに自信を失った
- 周囲と適切なコミュニケーションができず、仲間外れになったりいじめられたりした
- 学校で発生する音や匂いや光が苦手
小学生の不登校についての4つの相談窓口
種類を「学校関係・公的機関・民間施設・医療機関」の4つに分けてあります。
全ての相談先に共通するメリットは、次のとおりです。
お子さん
- 家族以外とコミュニケーションを取るきっかけ・練習になる
親御さん
- お子さんのことを親だけで抱えなくてすむ
親子両方
- 専門的な知見からの、具体的なアドバイスが得られる
- 人に悩みを話すだけでも気が楽になる
また、全てに共通する注意点としては、「人には『相性』があるので、ある相談先が合わなかったとしても落ち込んだりせずに、別の相談先を探すようにする」があります。
なお、最初に相談するべき相手は、「学校の、担任の先生」です(その理由は次章で紹介します。また、他の相手に並行的に相談するのはもちろん問題ありません)。
相談先①学校関係
学校関係の相談先は、主には以下の4つです。
1:担任の先生
2:スクールカウンセラー
3:教育支援センター(適応指導教室)
4:特別支援教育コーディネーター
1:担任の先生
- 一般的に、不登校のことを最も相談しやすい相手は「担任の先生」と考えられます。
- 担任の先生はお子さんのことをすでに知っているため、性格や学業に関する前提を共有しながら相談できます。
2:スクールカウンセラー
- 担任の先生だけでなく「スクールカウンセラー」に相談するのも有効です。
■スクールカウンセラーとは?
近年のいじめの深刻化や不登校児童生徒の増加を受けて、学校でのカウンセリング機能の充実を図るために配置されている、心のケアやストレス対処の専門家。不登校の子どもだけでなく、親御さんのカウンセリングも行います。
3:教育支援センター(適応指導教室)
- 公的機関の一つでもありますが、「教育支援センター(適応指導教室)」に相談する・通う方法もあります。
■教育支援センター(適応指導教室)とは?
・主に市区町村の教育委員会が不登校児童生徒の居場所として設置するもの
・学校を管轄している教育委員会が運営しているので、公立学校との連携がしやすい
・「○○学級」などの名称になっている地域もある
・基本的に費用はかからない
・時間は9:00〜15:00程度
・先生が勉強を教えることもある
・自分のペースで学習する自主学習の時間もある
・スポーツやアクティビティなどの集団活動もある
ただし、教育支援センターは、「元の学校・教室への登校再開」を前提としたサポートを行います。
子どもが登校再開をまだ考えていない場合は、サポートの内容にミスマッチがあるかもしれません。
4:特別支援教育コーディネーター
- 発達障害や何らかの疾患が関連する(可能性のある)不登校の場合は、「特別支援教育コーディネーター」に相談するのがよいかもしれません。
■特別支援教育コーディネーターとは
・通常クラスでの授業が難しい児童の支援を行う
・学校内の関係者や、福祉・医療等の関係機関との連絡調整の役割を担っている
・発達障害や疾患が関連する(可能性がある)不登校の子どもの相談に向いている
ただし、学校によっては設置されていないこともあります。
相談先②公的機関
主な公的機関の相談先は、以下の4つです。
1:ひきこもり地域支援センター
2:児童相談所
3:青少年センター
4:子供家庭支援センター
1:ひきこもり地域支援センター
- ひきこもり地域支援センターでは、小学生の不登校や引きこもりについて相談ができます。
■ひきこもり地域支援センターとは
・不登校や引きこもりの無料相談が可能
・社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士などの専門家が在籍
・医療機関や民間の不登校支援施設の紹介を受けられる
具体的・直接的なサポートや支援を行う団体ではなく、それらを行う団体を紹介する「相談窓口」となります。
2:児童相談所
- 不登校の小学生に限らず、「児童相談所」では、子ども本人・家族からの相談を受け付けています。
■児童相談所とは
・子どもが心身ともに健やかに育てるように、子どもの支援・問題解決を進める専門機関
・児童福祉司・児童心理司・医師・保健師などの専門スタッフが対応
・アドバイスの他にも治療プログラムやカウンセリングも実施
3:青少年センター
- 青少年センターでは、子どもの不登校から青少年の引きこもりまで、包括的な相談ができます
■青少年センターとは
いじめ・不登校・非行といった、子どもや若者とその保護者が抱える悩みの相談が可能
全国の市区町村に設置され、具体的な名称はそれぞれ異なる(例: 青少年指導センター,青少年相談センター)
4:児童家庭支援センター
- 児童家庭支援センターは、子どもと家庭の問題に関する総合相談窓口です。
■児童家庭支援センターとは
18歳未満のお子さんや子育て家庭のあらゆる相談が可能
地域の子育てに関する情報をたくさん持っている
市区町村によって名称が異なる(東京都の例:子供家庭支援センター)
必要に応じて児童福祉施設などの紹介を受けられる
相談先③民間団体
主な民間団体の相談先は、以下の4つです。
1:フリースクール
2:学習塾
3:家庭教師
4:親の会やNPOなど
1:フリースクール
- フリースクールは、不登校の子どもが、学校の代わりに通える「居場所」になるところです。
■フリースクールとは?
既存の学校制度や勉強方法が合わない子どもや家庭をサポートする、自由度の高い居場所
学校教育法上の学校ではない
生徒数は10人程度から100人を超えるところまであり、理念や活動内容にもそれぞれ特色がある
2:学習塾
- 不登校の小学生に対応した学習塾もあります。
学習塾では、学校に行っていなくても勉強を進められます。
■学習塾を探すときのポイント
不登校の小学生の指導実績やコースがあるかどうか
(できれば)個別指導をしているかどうか
不登校に対応・特化した塾では、不登校のお子さんの心理状態を理解した上での授業を行えます。
また、完全個別指導であれば、勉強以外に生活面や進路の相談もしやすいでしょう。
不登校経験のある講師は、生徒にとってのロールモデルになりえます。
次項で紹介する家庭教師に比べたときのメリットは、「定期的に外出する機会になる」があるでしょう。
不登校の子ども向けの学習塾は、インターネットで「学習塾 不登校」「小学生 不登校 塾」などと検索すると、候補が見つかると思います(例:キズキ共育塾)。
3:家庭教師
- 「家庭教師」も有効な相談先・頼り先です。
特に「不登校の人向けの家庭教師」もあります(私たち、「キズキ」もその一つです)。
前項の学習塾と比べたときのメリットは、「自宅での指導になるので、外出が苦手でも利用のハードルが低い」があるでしょう。
不登校に特化した家庭教師なら生活面や進路の相談も行えること、不登校経験のある家庭教師ならお子さんのロールモデルになることは、塾と共通したメリットです。
4:親の会やNPOなど
- 親御さん同士のネットワークとして、「親の会」があります。
■親の会とは
不登校や発達障害など、似た状態にあるお子さんを持つ親同士が意見交換などをする会の総称。一般的には、地域ごとに団体や部会が分かれています。親の会は、会ごとに目的や実施内容が異なり、情報交換、相談、講師を招いての勉強会など、様々な取組を行っています。
また、不登校の小学生を支援するNPOなどもあり、そちらも団体によってサポート内容は様々です(前項のフリースクールを運営するNPOもあります)。
親の会もNPOも、インターネットで検索して、参加しやすいところを探してみましょう。
相談先④医療機関
主な医療機関の相談先は、以下の4つです。
1:病院(心療内科など)
2:カウンセラー
3:発達障害者支援センター
4:精神保健福祉センター
1:病院(心療内科など)
- 病院の中でも、「心療内科」「児童精神科」「小児精神保健科」「児童思春期精神科」などは、小学生の不登校のお子さんの診療が可能です。
■心療内科の特徴
・精神状態の診断からカウンセリングまで、メンタル面の全般的な相談ができる
・発達障害の検査をしているクリニックもある
お近くの病院は、「(お住まいの自治体名)+児童精神科」のようなインターネット検索で見つかると思います。
2:カウンセラー
- カウンセラーには、医者とは違う視点で、お子さん(や親御さん)の心の状態や生き方の相談ができます。
また、病気や障害を持っていなくても定期的な相談ができます。
カウンセラーの中でも、臨床心理士または公認心理師の資格を持っている人たちなら、一般的には信頼できます。
参考:日本臨床心理士会「臨床心理士に出会うには」
上記サイトでは、「不登校・いじめ・学校不適応」の項目にチェックを入れて、都道府県や年齢で、対応カウンセラーの条件を絞り込めます。
3:発達障害者支援センター
- 発達障害者支援センターとは、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、特性に悩む当事者や家族の生活をサポートする機関です。
発達障害の確定診断が出ていない場合でも、発達障害の可能性があるなら、窓口での相談が可能です。
■発達障害者支援センターの特長
・発達障害に特化したサポートを受けられる
・センターによっては、精神保健福祉士や社会福祉士などが在籍
参考:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センター・一覧|相談窓口の情報」
4:精神保健福祉センター
- 精神保健福祉センターとは、うつ病を含む精神障害をお持ちの方のサポートを目的に、精神保健福祉法によって各都道府県に設置された支援機関です。
不登校の小学生に限らず、心の問題やうつ病による症状で困っているご本人だけでなく、ご家族や関係者の方からも、精神衛生に関する相談を行っています。
■精神保健福祉センターの特徴
・他の支援機関と比較して、精神疾患に特化したサポートを行う
参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」
小学生の不登校を最初に相談すべき相手は「担任の先生」
担任の先生であれば、お子さんの学校での事情や性格に詳しく、家庭が知らない情報を知っている可能性が高いです(もちろん、並行して他の相談先と話をするのは構いません)。
また、進級・進路相談といった「先のこと」まで話せます。
さらに、お子さんの学校での様子を知っておくことは、他の相談機関を利用する際にも役立ちます。
スクールカウンセラーなどからは、学校外のサポート団体を紹介してもらえることもあります。
残念ながら、学校が全体的に協力的ではない場合は、他の相談先を積極的に利用するようにしましょう。
小学生の不登校について相談する際の注意点
学校外の相談先に不登校の話をするときには、以下の点に注意しましょう。
・あらかじめ、電話やウェブサイト等などで、利用条件、必要な書類、予約の要否などを確認する
・定期的に通うことを考える場合、自宅からの距離や通いやすさも考える
・人には相性があるので、一つの相談先が合わなくてもがっかりせず、次の相談先を探す
まずは「電話で問い合わせる」でも構いませんので、情報を集めてみてください。
まとめ:不登校の小学生は相談先を頼りましょう
その上で、担任の先生や、相談しやすい支援機関に、どの窓口が最も適しているかなども聞いてみましょう。
不登校の小学生は、必ず「次の一歩」に進めますので、ぜひいろんな相談先をご利用ください。
この記事が、お子さんと、親であるあなたのお役に立ったなら幸いです。
さて、私たち、キズキは、不登校のお子さんのための塾&家庭教師です。
13年間で3,000名以上、不登校のお子さん・親御さんをサポートしてまいりました。
不登校についての無料相談を行っており、親御さん自身のお悩みもご相談いただけます。
少しでも気になる方は、お気軽にご連絡ください。
監修:安田祐輔
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
【新著紹介】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【著書など(一部)】
『暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』)
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
共同監修:半村進
はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。