【発達障害の子供のパニック】対応方法・相談先・進路について解説

こんにちは、発達障害や不登校のお子さんを家庭教師や個別指導塾でサポートするキズキです。

発達障害の特性があるお子さんが起こすパニックについてお悩みではありませんか?

このコラムでは、発達障害(グレーゾーンを含む)の子供、特に中学生・高校生のパニックへの対応方法や進路選択についてお伝えします。

発達障害の中学生・高校生が起こすパニックの例には、次のようなものがあります。

  • 友達とのケンカからパニックを起こし暴力をふるって怪我をする、させる
  • 急な予定変更で強い不安や混乱に襲われてパニックを起こし、他のことが手がつかなくなる
  • 入学、進級など急な環境の変化でパニックになり、人付き合いで失敗する

このようなお子さんのパニックと、それによる出来事に「どうすれば我が子は落ち着くのか」「この子の将来はどうなるのだろう」と不安に思う親御さんも多いでしょう。

この記事を読むことで、そうした不安の解消につながるはずです。

なおこの記事は、全体を通して、書籍『発達障害がある子どもを育てる本 中学生編(月森久江 講談社)』と、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジの知見を参考にしてお伝えします。

発達障害とパニックの関係性

小学校高学年から高校生にかけた時期(思春期)は、心身ともに子供から大人へと大きな変化が起きる時期です。

発達障害の傾向がある子にとっても、様々な問題が現れやすくなる時期と言えます。

心の混乱をどう対処すべきかわからず、パニックにつながることがあります(特性として自己認識する力が弱い場合は特に)。

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発達障害によるパニックは「環境」が関係する

発達障害者のパニックは、環境が関係する

思春期の発達障害のトラブルは、その子自身の特性だけが原因で起きるのではなく、取り巻く環境が関係することがとても多いです。

パニックも、環境によって発生する現象の一つと言えます。そして、根底にあるのは「失敗の連続によるできない自分へのいら立ち」であることが多いです。

パニックが起きた前後の環境や背景を詳しく分析することで、適切な支援の方法がわかってくるでしょう。

補足

環境による現象は、「その場でのパニック」以外にもあります。例えば、「学習面や対人面での失敗から自信をなくして悲観的になっている」場合は、不登校・引きこもり・うつ病などにつながすることがあります。

発達障害によるパニックに親ができる4つの対応

お子さんが成長して中学生・高校生になると、親御さんと一緒にいる時間は短くなります。

親御さんの目の届かないところでパニックを起こし、他の生徒とトラブルに発展するのではないか、と不安になることもあると思います。

周りの環境などに着目することで、発達障害のお子さんのパニックへの対応方法は複数考えられることが多いです。

次の対応方法をぜひ実践してみてください。

ただし、お子さんのことを「保護者だけ(家庭だけ)」で対応する必要はありません。詳細は後ほどお伝えしますが、サポート団体を積極的に利用しましょう。

専門家のアドバイスを得られることはもちろん、お子さんに関するお悩みにも耳を傾けてくれるので、心に余裕が生まれます。(ご紹介する各「対処法」やそれ以外の方法も、サポート団体に相談することで、「実際のお子さん」への具体的な当てはめ方が見えてくると思います)。

対応①まずは親御さんが落ち着く

まずは親御さんが落ち着く

中学生・高校生の時期は、学習面や対人関係に関連したパニック・トラブルなどが起こりやすい時期です。

将来に向けた進路選択も迫っているため、親御さんも気が気でないと思います。

しかし、お子さんの気持ちを落ち着かせるには、まず親御さん自身がどっしりと構えることが大切です。

時間があるときに息抜きやリフレッシュをしたり、家庭内で役割分担をしてリラックスできる時間をつくったりして、ストレスを軽減させられるように心掛けてみてください。

対応②いつ・誰と・どこでパニックになるか分析する

お子さんのパニックの裏には、必ず理由(環境)があります。

次の3つのポイントをおさえることで、パニックが起きる環境が見えてきます。

  • いつ:どんなときに問題が起きやすいか。落ち着いているのはどんなときか
  • どこで:どこで問題行動が生じやすいか。落ち着ける場所はあるか
  • 誰と:誰といると混乱しやすくなるか。相性のよい人は誰か

こういったことがわかれば、例として次のように対処法が見つかりやすくなるのです。

パニックが起きる環境:大人数で室内や車内にいるとき
クールダウン方法:すぐ外に出られるように出入口付近にいるようにする

パニックが起きる環境:周囲に注意を向けられてパニックがエスカレートする
クールダウン方法:注目を浴びないよう、教室では後ろの席に座らせる

対応③成功体験を積ませる

成功体験を積ませる

発達障害のあるお子さんは、「意欲があってもうまくいかなかった経験」から、自己否定感を強く持つ傾向があります。

自尊感情や自己肯定感を高め自分へのいら立ちを減らすことで、パニックを起こす頻度を減らすことが期待できるのです。

ささいなことであっても、できたことをしっかりとほめることを意識してみてください。

対応④自分をコントロールする方法を教える

衝動性の高い子は、些細なことでも感情が爆発し暴言や暴力が出ることで、周囲から敬遠されることも少なくありません。

また、中学生になると行動範囲が広がり大人の目が届かないこともあるため、1人ではクールダウンをしたり落ち着いたりすることが難しく、トラブルが大きくなりやすいです。

お子さん自身が自分の気持ちをコントロールする方法やクールダウンをする方法を身につけられるよう、対策・助言をしていきましょう。

対応例

  • 落ち着くまでその場を離れる ※1
  • ブレーキをかける方法を学ぶ ※2
  • 心のなかで「気にしない、気にしない」と心の中で唱える
  • 意識的に深呼吸をする
  • 水を飲む、飴をなめるなど、その場でとれるアクションを起こす
  • 頭の中で好きな歌の1フレーズを流す
  • 薬物治療 ※3

※1 イライラして落ち着けないときは、無理に我慢せずにその場から離れてひとりになると、だんだん心が落ち着いてきます。また、学校内で安心できる場所を決めて、パニックになりそうなときはそこに移動して自分の不安や混乱をしずめる効果が期待できます。図書館やトイレの個室など、人が少ないところで心を落ち着かせればパニックを防げます。

※2 カッとなりそうなときは、ブレーキをかける自分なりの方法を子供に考えさせて、そして実行させましょう。

※3 パニックを落ち着かせるお薬もあります。心療内科で処方されるものなので、親子同伴で病院に行って、利用するかどうかを検討しましょう。

発達障害によるパニックの相談ができる団体・機関

発達障害によるパニックの相談ができる団体・機関

ここまで、親御さんに向けて中学生・高校生の発達障害のパニックへの対応方法をお伝えしました。

しかし、お仕事や家事などでお忙しい中で、お子さんの特性に合わせた対応をしていると、ときにはストレスを感じることもあるでしょう。

しかし、そもそもお子さんのことは、親だけ(ご家庭だけ)で対応する必要はありません。

親御さんやご家庭の中だけで解決しようとせず、発達障害の専門家やサポート団体に相談しましょう。

お子さんの発達障害の特性に合った適切な対応を探れるため、親子でより的確な解決方法を見つけられます。

これまでにお伝えした対応方法やクールダウンする方法も、相談をすることで「あなたのお子さん(あなたのご家庭)」に合った具体的な方法がわかるでしょう(別の方法が見つかることもあり得ます)。

また、親御さんの焦りや不安を減らすこともできます。 以下、相談先の例をご紹介します。

①学校関係者

学校関係者の中でも、スクールカウンセラーや養護教諭(保健室の先生)は、お子さんにとって最も身近な相談先です。お子さんが学校にいる間にパニックを起こしたら、すぐに連絡が取れるようにしておくとよいでしょう。

②医療機関

中学生・高校生になると小児科から他の科へ移行する時期です。一部の小児科では発達障害を専門としているところもありますので、まずはかかりつけの小児科に確認し、移行先の精神科、心療内科についても相談してください。

③発達障害支援センター

発達障害支援センターは、子供から大人まで発達障害の人を支援する公的な専門機関で、発達障害に関する最新情報を収集・分析し、全国的に広く普及啓発活動を行っています。全国の一覧はこちらです。

④特別支援教育センター

特別支援教育センターは各都道府県に設置された教育機関で、お子さんの教育から生活まで様々なニーズにこたえる相談活動をしており、発達障害のある児童・生徒に向けても支援をしています。全国の一覧はこちらです。

発達障害によるパニックに理解がある家庭教師・学習塾

発達障害に理解のある家庭教師や学習塾のサービスもあります。

そうしたところでは、特性に合わせた勉強法から、日常での過ごし方や相手とのコミュニケーションのノウハウまでサポートしていることが多いです。

そのため、指導の一環としてパニックを落ち着かせる方法やクールダウンする方法などを、身につけられることもあるのです。

私たちキズキもその一つです(中学生・高校生のお子さんのパニックへの対応方もご相談いただけます)。

相談先は他にもあります。コラム「発達障害の小学生の癇癪、その理由や親にできる7つの対応、相談先など」の、「発達障害の相談先」の章をご覧ください。

発達障害によるパニックが起きやすい中学生の進路

発達障害の中学生の進学・進路について

この記事をご覧の親御さんは、お子さんの中学卒業後の進学先・進路先への不安や焦りを強く感じているかもしれません。

この章では、発達障害のお子さんの中学卒業後の進路について、書籍『こころライブラリー イラスト版 高校生の発達障害(佐々木正美、梅永雄二 講談社)』を参考にしてご説明します。

補足1

特に発達障害のお子さんの高校受験の詳細は、コラム「発達障害の子どもが高校受験をする前の確認事項7点と親御さんができること」をご覧ください(キズキ共育塾のサイトに移動します)。

補足2

特に発達障害のお子さんの大学受験の詳細は、コラム「発達障害の子どもが大学受験するときの7つの確認事項と親ができるサポート」をご覧ください(キズキ共育塾のサイトに移動します)。

①お子さんに合った進学先を見つけることが大切

中学卒業後の進路は、中学までとは比べ物にならないくらいたくさんの選択肢があります。

受けられる支援の範囲や程度も、地域や機関ごとに違っています。

そのため、お子さん本人と親御さんの自主的な選択が求められるようになるのです。

それに伴い、次のようにお悩みの親御さんもいらっしゃいます。

「どこであれば我が子の発達障害の特性を理解・支援してくれるのだろう?」
「どのような環境が発達障害のあるわが子に合うのだろう?」

まずはご安心ください。最近は発達障害がある子をサポートする特別支援教育が高校や大学にも普及しつあります。

進路選びで重要なのは、お子さん本人に合う環境(学校)を選ぶことです。

進路・進学先選びでは、次のようなことを意識してみましょう。

  • お子さんの特性を把握・分析して、本人にあった学校や進路先を提示する
  • お子さんと定期的に話し合い、本人の声に耳を傾ける
  • 地理的に可能であれば、お子さんと学校に直接行って実際の雰囲気に触れる

情報収集にあたっても、先ほど紹介したサポート団体に相談することもできます

また、進路候補の学校見学会なども参加してみましょう。

こういったことを踏まえて進学先・進路先を吟味することで、お子さんがよりよい人生を送れるようになります。

②高校の種類・形態を知る

高校の種類・形態を知る

高校には、全日制・定時制・通信制という課程があり、特徴も様々です。

全日制は最も一般的で、入学後の学校生活のイメージがしやすいと思います。

ですが、お子さんの特性によっては、次のような全日制以外の高校が向いていることもあるのです。

  • 登校時間が昼からとなる、定時制高校
  • お子さんのペースで学習できる通信制高校

全日制以外も、先入観なく情報を収集してみましょう。

各高校の詳細は、コラム「不登校から高校受験を成功させる3つのコツ〜高校の種類や選び方も紹介〜」の、「不登校から高校受験を目指す人が知りたい、高校の種類と特徴」の章をご覧ください(主には不登校の親御さん向けの記事ですが、この部分は不登校ではなくても参考になります)。

また、高校以外にも、中学校を卒業した人を入学の対象者とした学校として、高等専修学校や高等専門学校(いわゆる高専)もあります

こちらの詳細は、コラム「高校中退から専門学校への進学方法を紹介!〜高等専修学校・高専も解説〜」をご覧ください(こちらも、主には高校中退者向けの内容ですが、専門学校・高等専修学校・高専についての解説は、どなたがご覧になっても参考になると思います)。

③高校の学びをサポートする仕組みを調べる

通信制高校や定時制高校に通う場合、科目や科目以外の勉強をサポートする制度・仕組みもあります。

(1)サポート校

通信制高校と並行して通える教育支援機関です。授業や行事、相談業務などを通して学習面、生活面のサポートを受けられます。

(2)技能連携校

将来の就労を想定し、労働に関するスキルを積んでいく形態の学校です。通信制高校・定時制高校で「高校の勉強」を行いながら、技能連携校で専門知識を学べます。

こういったサポートを受けることで、お子さんはもちろん親御さんも発達障害やパニックに対する不安が軽減されるでしょう。

まとめ:発達障害によるパニックは専門家・サポート機関に相談を

発達障害によるパニックは専門家・サポート機関に相談を

発達障害の中学生・高校生のパニックへの対応をご紹介しました。

お子さんのことを親だけ・ご家庭だけで対応しようとせず、ぜひ、専門家やサポート団体を利用してください。

パニックへの対応(パニックを起こさないようにする対応)がわかりますし、それ以外の進路や勉強についての相談も可能です。

この記事が、お子さんと親御さんの生きやすさにつながりましたら、幸いです。

さて、私たちキズキは、発達障害や不登校のお子さんのための家庭教師と個別指導塾を運営しています。 発達障害に関連して、パニック・勉強・進路などについて無料相談を承っています。少しでも気になるようでしたら、お気軽にご相談ください。

安田祐輔

監修:安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

半村進

共同監修:半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校新聞 / 通信制高校ナビ

サイト運営:キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする家庭教師学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。2023年7月現在、学習塾は全国に10校とオンライン校(全国対応)があり、家庭教師は関東・関西で対応。

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