不登校から大学受験を目指すあなたに伝える、受験資格・受験方式・大学進学後の生活

こんにちは。学校が苦手な人のための家庭教師・「キズキ家学」の桐野アキです。

このページを読んでいるあなたは、大学に進学したいけれど、様々な理由から学校に行けておらず(=不登校の状態で)、「自分は大学に行けるんだろうか?」「なにから始めればよいのかわからない」と悩まれているのではないでしょうか?

不登校からの大学受験は、もちろん可能です。そして、そのためのアプローチは、あなたの「今の状況」によって、いくつかの選択肢があります。

今回は、不登校からの大学受験について、以下の3点を中心に解説していきます。

  • 大学受験のために必要な資格について
  • 大学受験に向けて、どんな手続きを踏めばよいのかについて
  • 大学進学後の生活について

この記事を読むことで、不登校からの大学受験に必要な情報を知ることができ、大学合格に一気に近づくことができるでしょう。

不登校からの大学受験(大学進学)は、もちろん可能

不登校から大学進学を目指すことはできるのか

不登校からの大学受験(大学進学)は、結論から言うと、もちろん可能です。

まずは、大学受験をするために必要な「受験資格」の取得を目指しましょう。その上で、目指す大学に関して正確な情報を調べることで、大学受験し、大学進学できる可能性は高くなります。

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大学受験に必要な2パターンの資格

いま不登校かどうかに関わらず、大学受験のために必要な資格には、2パターンあります。

「高校卒業の資格」または「高卒認定の資格」です。どちらでも問題ありません。

これらの資格は、次のようにして得ることができます。

高校卒業の資格

高校を卒業することで取得できる資格です(以下、「高卒の資格」と言います)。いまの学校(教室)に通うのが難しい場合も、保健室登校などを通じて卒業単位を取得したり、別の高校に編入や転入をしたりして、高卒の資格を得ることができます。なお、大学受験の時点では、実際に卒業していなくても、「卒業できる見込み」があればOKです。

高卒認定の資格

高卒認定試験に合格することで取得できます。「高卒認定」の資格は、大学受験においては、高卒と同等の効力を得られます。また、高卒認定試験は「高校を卒業していない人なら、誰でも受けることができる試験」であり、高校に在籍・通学していなくても受験できます。逆に、高校在籍・通学しながら取得することも可能です。

大学受験を志すのであれば、まず上記の資格のいずれかを取得するところから始めましょう。(次章で解説します)

※「高卒の資格」の補足

厳密には、高校以外に、高等専修学校や高等専門学校(高専)での一定の在籍期間などを満たした場合にも大学受験資格は得られます。高校以外の学校に在籍していて不登校の場合は、所属する学校の先生などに、自身の大学受験資格について確認してみましょう。

不登校から大学受験の資格を得るための5つの方法

学校の机

大学受験をするための資格は、上記で説明した「高卒の資格」「高卒認定の資格」でしたね。それでは、どうすればその資格を取得できるのでしょうか。

現在在籍している高校から別の高校への編入か、在籍したまま高卒の資格を得るのかなど、様々な選択肢があります。いまから、その5つの主な方法を挙げていきます。

前提:全日制高校とは

全日制高校とは、「平日に毎日登校して、朝から夕方まで授業がある高校」のことです。

【補足】
「どの方法が自分に向いているか」などは、お一人で悩みを抱え込まないでください。不登校からの大学受験(のための資格取得)をサポートする団体はたくさんあります。そういうところをネット検索などで探して相談することで、「実際のあなた」に向いた方法などが具体的にわかっていくと思います(私たち、キズキ家学でも無料相談を受け付けています)。

方法①通信制高校への編入

1つ目は、通信制高校への編入です。通信制高校とは、郵送やパソコンの通信を通じて勉強を進めていく学校のことを指します。通信制高校の特徴は、次のとおりです。

通信制高校の主な特徴

  • 毎日通学する必要がない(「毎日通学したくない人」には向いている)
  • 「学校の決める時間割」がない(その年に勉強する科目を自分で決める仕組み(単位制)。体調を崩しやすい人や自分のペースで学習をしたい人にも適している)

 
通信制高校への転校の詳細は、コラム「通信制高校への編入の条件は?学年別(高1・高2・高3)でポイントを解説」をご覧ください。

方法②定時制高校への編入

2つ目は、定時制高校への編入です。定時制高校は、全日制高校と同じように毎日登校します。

定時制高校の主な特徴は、次のとおりです。

定時制高校の主な特徴

  • 授業の時間帯が、全日制高校よりも遅い(昼から、夕方からなど)
  • 卒業までの期間が3〜4年間
  • 一日あたりの授業時間が4時間ほどで短いことが多い
  • 授業の時間帯が朝・昼・夜の時間帯の3部に分かれていることもある

全日制高校のように給食やクラブ活動がある学校もあり、全日制高校とあまり変わらない生活を過ごすことができることもあります。学校生活を楽しみつつ時間をかけて学びたい人は、定時制高校が向いています。

定時制高校の詳細は、コラム「定時制高校ってどんなところ?定時制出身の私が紹介する、定時制のリアル」をご覧ください。

方法③高卒認定資格の取得

高卒認定試験を受けて合格すれば、高校を卒業しなくても大学を受験する条件を満たせます。

ただし高卒認定試験に合格しても、高校を卒業していない場合、大学へ進学しなければ最終学歴は中卒となります。

そのあとに、大学を卒業すれば最終学歴は「大卒(大学卒業)」になります。

高卒認定試験に関する特徴は以下の通りです。

  • 高校在学中にもチャレンジできるので、高校卒業と両方を目指すことも可能
  • 試験に必要な科目は、選択によって、8科目〜10科目
  • 試験の内容は大学受験よりも難易度は低いので、対策をすれば合格しやすい
  • 高校で単位を取得した科目では、受験の免除が可能(単位の取得状況によっては、1科目だけ合格することで高卒認定全体を取得できる)

高卒認定の詳細は、コラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」をご覧ください。

方法④保健室登校などを利用して、いまの高校を卒業

不登校の状態でも、現在通っている高校を卒業する方法はあります。

教室に行くのはハードルが高い場合、保健室登校ができるかなどを、学校の先生に相談してみましょう。「クラスへの登校」ができなくても、次のような方法で卒業できることもあります。

いまの高校を卒業する方法

  • 保健室登校をする(テストも保健室で受ける)
  • 通常の授業とは別に、個別指導や補習を受ける
  • 特別な課題を提出する
  • 卒業に必要な最低限度の出席日数だけ確保する(勉強は塾などを利用する)

上記のようなことが可能か、学校の先生などに相談してみましょう。

保健室登校の詳細は、コラム「保健室登校って何?〜意味・効果、不登校との関係、教室復帰の方法〜」をご覧ください。

方法⑤ほかの全日制の高校への転入

在籍している高校がご自身に合わないと感じたら、別の全日制の高校に編入することも方法の一つです。ただし、現実的には、全日制高校は転校生を受け入れるハードルが高いです。「絶対に無理」とは言いませんが、現実的には前掲までの方法をオススメします。

全日制高校に転校したいのであれば、転校できる高校を探すとともに、次のようなことも、親御さんや信頼できる大人と話し合いましょう。

ほかの全日制高校への編入するときの注意点

  • 全日制高校への転校という選択がご自身に最適か
  • なぜ現在の高校が合わなかったのか(学習面か人間関係の面か、その他の面か)
  • 「合わなかったこと」は、転校した先で改善できるのか

 

不登校からの大学受験に役立つ、「受験方式」の紹介

大学

「大学受験に必要な資格」の次は、「実際の大学受験」について考えていきましょう。

具体的には、志望している大学の受験方式などを知ることによって、今後の受験勉強の科目数なども変わっていきます。(逆に、受験勉強に必要な科目を絞ってから、志望大学を考えていく方法もあります)

【補足】
こちらについても、あなた一人で考え込むのではなく、「不登校からの大学受験に詳しい団体」に相談しながら検討することをオススメします。(私たちキズキ家学でも無料相談を行っています。また、受験勉強も可能です)

①一般入試

一般入試とは、「受験」と聞いてよくイメージされる、「学力試験による合否判定」のことです。一般入試の科目数は、受験大学が国公立か私立かによって、大きく変わります。

(1)国公立大学の「一般選抜」
共通テストと個別学力検査の2つを組み合わせて実施されます。また、科目は「5教科7科目(英国数理社の5教科。かつ、理科・社会で2科目ずつなど)」であることが多いです。

苦手科目を作らず、まんべんなく得点を獲得する必要があります(一部の大学では、調査書の内容も評価されることがあります)。

実施日時は、次のようになっています。

試験の実施日時

  • 共通テスト:1月の第2週目の土・日
  • 国公立の入試:前期日程は2月の下旬から、後期日程は3月中旬から
  • ※公立大学のみ中期日程を実施しており、毎年3月8日以降に行われます

(2)私立大学の「一般選抜」
大学、学部、学科によって異なりますが、教科数は3教科が基本です。一般的には、次のようなパターンが多いです。

  • 文系学部:英語、国語、社会(日本史・世界史・地理などの中から一つ)
  • 理系学部:英語、数学、理科(物理・化学・生物・地学の中から一つ)

その上で、大学・学部によっては、ある科目の配点を変えたり、重視したりすることもあります(例えば、数学の得点を重視するなど)。重視科目がある大学なら、少ない科目の中で、自身の得意科目を武器に受験に挑むことも可能であるということです。

私立入試日程は、大学によって異なりますが、多いパターンは次のものです。

試験の実施日時

  • 前期日程:1月下旬~2月中旬
  • 後期日程:2月下旬~3月

②総合型選抜(旧AO入試)

総合型選抜(旧AO入試)の審査内容は、自己推薦書・調査書、面接、志望動機、入学後にやりたいことなどです(学力試験がある大学もあります)。

各大学が求める学生像に受験者がマッチしているかどうかが重要です。

高校を不登校でも受験できますが、卒業見込みがないと受けることができないため、卒業出来る出席日数は満たす必要があります。

総合型選抜は、9月から12月にかけて選考が行われることが多いです。

不登校からの大学受験を目指す人からよく聞かれる、「大学進学後のこと」について

新しい旅

さて、大学進学を果たした後についてお話ししましょう。

不登校から大学受験を目指す人のよくある心配に、「大学に合格できたとして、無事に大学生活を送ることができるんだろうか」があります。

まず、1つお伝えすると、大学は「中学や高校まで」と違い、狭い人間関係に縛られることもなく、授業や課外活動も自由に選んで過ごすことができます。そのため、高校までの「不登校に関連する悩み」がそもそも発生しないことも少なくはありません。

その上で、次のような、もう少し具体的な心配もお聞きします。

  • 「大学の勉強についていけるのか」
  • 「気が合う友達はできるのだろうか(苦手な人がいたらどうすればよいのか)」
  • 「大学生活で悩んだらどうしたらよいのか」

この章では、これらの質問にお答えします。

①大学での勉強について

大学での勉強は、次のような特徴があります。「高校までの勉強(授業)」とは大きく異なるので、「これまでの学校の授業が苦手だったから」という心配は、直接的には関係ありません。

  • 興味や予定に合わせて、受ける授業を自分で選べる(語学の授業など必須科目はあります)
  • 大学によっては何百人もの単位の講義室で行われる授業もあり、授業によっては自由な席を選ぶこともできる
  • 授業の課題(単位を取得するためにやるべきこと)は、出席、グループワーク、レポート、テストなど様々

②大学での人間関係について

大学は授業も自由に選ぶことはできますし、基本的には学年みんなでのイベントもありません。つまり、苦手な人と一緒にいる必要がないということです(一部の大学や授業では、合宿などが必須の場合もあります)。

授業が終われば、アルバイトやサークルや課外活動などに自由に参加できます。これも強制ではないので、自分自身が気の合う人を見つけて、過ごすことができます。

逆に、大学を通じて、いろんな人との出会いもあるので、気の合う友人を見つけられます。

私の担当した生徒さんにも、「中・高で不登校だったけれど、大学の授業で知り合った友人と仲よくなり、いまでは無理なく本人のペースで楽しく大学に通えている」という人は珍しくありません。

③大学生活での悩みについて

相談

大学には、気軽に利用できる「学生相談室」があります(名称は大学によって異なります)。学校での人間関係や勉強についての悩みや、今後の進路についての悩みも、相談できます。

特に就職や大学卒業後の進路についての悩みは、「キャリアセンター」で親身に相談に乗ってもらえます。

もちろん、相談内容は周りの人に知られることはありません。

大学生活では、これまで以上に「悩みを相談しやすい体制」が整っていると言えるでしょう(また、大学外の各種相談機関も利用できます)。

まとめ

図書館

今回は、大学受験の条件、大学受験の種類、そして進学後の生活などについて、お話ししました。

不登校であっても、大学受験は可能です。大学に進学するための方法は、年々増えてきています。ご自身にあった方法を見つけて、大学進学のための参考となれば幸いです。

安田祐輔

監修:安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

半村進

共同監修:半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校新聞 / 通信制高校ナビ

サイト運営:キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする家庭教師学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。2023年7月現在、学習塾は全国に10校とオンライン校(全国対応)があり、家庭教師は関東・関西で対応。

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